【佐用駅】 (兵庫県 佐用郡 佐用町)

【佐用川を渡る智頭線】

 佐用は、佐用郡の中心部に位置し、町名は【さよう】だが、駅名は【さよ】である。
 トンネルの多い智頭線のなかでも、佐用付近は不思議とトンネルが少なく、地上の路線が多いので沿線風景が楽しめる。
 国道373号線や姫新線・智頭線が平行して南北に通っており、姫新線は東の徳久(とくさ)ヘ、智頭線は南の久崎(くざき)へと進む鉄道の分岐点になる。

 佐用は『播磨国風土記』には、【讃容の里】(さよのさと)と記され、【佐用都姫命】(さよつひめのみこと)により、開拓されたと伝える。また、出雲・吉備・大和の「三大古代文化」が融合した新しい影響を受け、古代の佐用文化が創造されたという。
 これらの証として、多くの古墳や遺跡からの出土品は、他の地区では見られない優れた文化をうかがうことができる。

 佐用は交通も早くから発達しており、因幡街道と美作街道が交差していた。この状況は現在にも引き継がれ、東西に国道179号線と中国自動車道、南北に国道373号線が交差。また、姫新線と智頭線も交差している。

【星空と西はりま天文台】

 都会の都心部から離れ、兵庫・岡山に接する県境の町で、これだけ複雑に各種交通が入り交わる例は少ない。
 佐用は早くから文化の開けた地域だけに、歴史も豊富である。佐用開拓の神を祀る【佐用都比売(さよつひめ)神社】。智頭線・姫新線の側にそびえる大イチョウは 1,000年の風雪に耐え、佐用の歴史を見守りながら、今も見事な枝ぶりを見せている。

 【佐用の朝霧】は大自然が演出する『朝のドラマ』である。
 佐用町と上月町の境にそびえる【大撫山】(おおなでさん)の山頂からの眺めは最高。霧に浮かぶ山の頂きが、まるで海上の島々に見え、神秘的な雲海が佐用盆地を覆い、一刻一刻と色・形が変化する壮大なシーンは、不思議な感動を呼び起こし、別世界のドラマを見る感じである。

 大撫山にある兵庫県立【西はりま天文台公園】もいい。風光明媚な自然の中に囲まれた天文台には、直径60cmのフォーク式反射天体望遠鏡を備え、天体や宇宙の観察・学習の場としても、利用されている。

 佐用町は【星の都・さよう】をテーマにした絵本大賞や地球環境フォーラムなど、全国レベルの情報を発信しながらの町づくりがすばらしい。

 このページの【写真】および【近隣の紹介文】(抜粋)は、上郡町の【上郡〜智頭沿線を愛する会】(代表 有田明義氏)が、発行した冊子【ふる里の軌道】”智頭急行沿線探訪” の中から、有田氏の承諾を得て、使用させていただきました。
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