【石井駅】 (兵庫県 佐用郡 佐用町)

【田園風景の中の石井駅】

 鳥取県から南向きに走ってきた智頭線が いよいよ兵庫県に入り、最初に止まるのがこの【石井駅】である。
 智頭線は兵庫・岡山両県の県境をトンネルで通過する。

 この近くにある日名倉山(標高1047m)は、兵庫県立自然公園であり、針葉樹・落葉樹などがそれぞれ入り交わり、四季を通じて、見事な景観を楽しむことができる。
 特に山項からの展望は素晴らしい。『日名倉山 野外活動センター』もあり、夏のシーズンには青少年で賑わう。日名倉山を源泉にした佐用川は、石井を過ぎると川幅も狭くなり、渓谷の感じが濃くなる。
 渓谷といえば、佐用郡で有名なのが『鮎返しの滝』である。
 石井駅から、佐用川沿いに奥海方面に向かって進むと『鮎返しの滝』に着く。

【佐用名物『あさぎり茶』の茶畑】

 『鮎返しの滝』は前方に大きな岩が迫り、岩盤が複雑に入り込んだ隙間からの流れが、すごい勢いで下に落ちている。なるほど、これでは鮎も恐れをなして、引き返すのも当然だろう。『鮎返し』とは、うまく名付けたものだ。
 鮎と同じように引き返すと、青木の小守次郎大夫の墓がある。小守次郎大夫とは、右大臣菅原道真の後裔であり、美作菅家の流れを汲む家柄である。その祖小守次郎満佐元弘の変には、赤松円心に従い、元弘3年(1333)、京都四条の戦いで戦死している。
 小守氏は青木に住み、青木や石井に勢力をもっていた。地元では青木城主であったとも伝えられている。戦国末期には、大原の竹山城主新免伊賀守宗貫に仕えていたが、関ケ原の戦いに敗れ、その後、青木で死去している。
 地元では、青木バス停近くの民家の裏側、石垣の上の宝篋印塔を小守次郎大夫の墓と伝えている。大きさは約1メートルあり、塔身には梵字が刻まれているが、風化が激しい。全体からいえば、重厚な感じで立派。やはり佐用町は歴史の町である。

 このページの【写真】および【近隣の紹介文】(抜粋)は、上郡町の【上郡〜智頭沿線を愛する会】(代表 有田明義氏)が、発行した冊子【ふる里の軌道】”智頭急行沿線探訪” の中から、有田氏の承諾を得て、使用させていただきました。
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