春が来た。 (※記事当日は3月末です)
昔の人が良い句を詠んでおられた。

ひさかたの…
光のどけき 春の日に…
しず心なく ファンシーグッズ


あ、ちがった『きこりのどけき』だ。
春ののどかな情景を表した、心安らぐ一句です。
これを詠んだ人はきっと繊細な心をお持ちだったに違いない。

ま、それはさておき、ボクもZRX(G3)も春になるとツーリングに出かけたくてうずうずしてしょうがありません。
ツーレポをご覧いただけるとお分かりの通り、09年度はまだ年明けから一度もツーリングには出かけておりません。
近場にはちょろちょろ出かけているのですが、仕事も忙しくてなかなか遠乗りの機会に恵まれませんでした。
そろそろツーレポを更新しないと、全国に550万人(※)いると言われるZRX乗りたちが待ちくたびれてしまうでしょう。
※兵庫県の人口=550万人

そこで年度末。
ムリヤリ年休を取って土日と連休を作り、久々の泊まりツーリングを企画しました。
(ちなみにウチの部署は週
1.5休制…)

方面も決めています。
ちょうどG3に乗り始めた13年前のこの時期、初めて訪れた紀伊半島を思い出と共に回る予定です。
当時は奈良に住んでいました。
奈良市から日本最大の村“十津川”を抜けて和歌山まで抜けるのが当時の定番ルートだった。
いいね。
これでいこう。

奈良なら(プッ)いつものアレな連中を誘えば良いでしょう。

で、いつもの連中にメールをし、迎えたツー前夜。
それはもう全速力で仕事を終わらせ帰宅。
いつもとは書類の片付けにかける情熱が違います。
普段からこれだけの力を発揮できれば残業をしなくて済むのにな。

久々すぎていつも好例の冒頭の駄文も
空回り気味ながら、久方ぶりの泊まりツーリングに胸を躍らせて夜8時に就寝。
携帯の目覚ましが鳴ったのは深夜、というか早朝3時半。
奈良の連中とは朝6時に待ち合わせなので出来れば暗いウチには兵庫を出発したいところなのです。

いそいそと準備を済ませる早起き極まりない33歳男性。
3月下旬にもかかわらずここ数日の冷え込みは相当に激しいため、防寒対策を念入りにします。
インナーはアウトドア用の長袖下着を2枚重ねと同じくぴったりとしたタイツ。
靴下も2枚重ねにカイロを貼り付け、腹と背中にもペタペタと貼ってやります。
一番辛いであろう指先は、最近購入したインナーグローブに加え靴下用のカイロを仕込むことで対処します。
温暖なこの地域でも、この週の初めに季節外れの雪が降ったばかりですので、念には念を入れるのです。

そうして重武装で外に出る。
いつものように家の前の坂をニュートラルで下って田んぼの中でアイドリングします。
今年に入ってからは週2回ペースで乗っているのでエンジンの目覚めは良い。
とはいえこれだけ寒いと点火させるのにはちょっとしたコツがあって、多分ボクじゃないと始動させる事は出来ない。
自分仕様と言うと聞こえはよいが、早い話不調なだけなんだね。

数十秒アイドリングさせてから発車。
農道を通り県道へ、10分ほど走っていつもの国道2号線に出る。
R2号の気温計は
-1℃と表示されていたが、深く考えると恐いのでとりあえず深く考えないようにする。

太子町から2号バイパスへ乗りそのまま太子バイパス姫路バイパス加古川バイパスと順に走っていく。
10年くらい前はまだ有料だったのですが、今は無料となり交通量が激増しているこの路線。
事故もメッチャ多いので細心の注意を払って走ります。

早朝だけあって流れは非常に良いです。
気温も非常に低いです。
走っていてもシールドとメガネが吐息で曇ってくるくらい。
これだけ厚着していても体の芯から冷えてきます。
あまりの寒さに道中の記憶もほとんど無く、ひたすら先を急ぐ。

明石で第二神明道路に入り、神戸からは阪神高速3号神戸線へ。
ここまでは分岐もなく真っ直ぐ走っているだけで到達できるので、気楽に走れます。
途方もなく寒くて泣けてくるが、久々のナイトラン&ツーリングにテンションは高い。

阪神西宮辺りのPAで連中に『あと1時間以内で着く』とメールをして、さらに先へ。
神戸線から阿波座で阪神高速13号に乗り換え、東へ。
この頃になるとうっすらと朝日が差し始め、目前には生駒山系が見えてきました。
懐かしいこの姿。

少し進むと大阪・奈良県境の阪奈トンネルに入り、ここからは第二阪奈道路となる。
トンネル内は緩い上りに加えて交通量は極少。
さらに外とは比べものにならないほど暖かなので、調子に乗ってちょっと飛ばしてみた。
スピードメーターは
良く分からない数字だったけど。

トンネルを抜けるとそこは奈良県。
生駒市の料金所を抜け、しばらく走ると高速道路は宝来出口で終了です。
しばらく来ないうちにこの宝来出口付近は大開発が行われていました。
高架の工事中。
この先は年中渋滞の多発地点なので、これでさらに奈良市内へのアクセスが容易になりそうです。

そのまま近鉄奈良駅前まで数q直進して、集合場所に到着。
一服しているとドカ乗りの
ウエッチ、次いでハヤブサ乗りのみのっちが到着しました。
真っ赤なイタ車とピンクの痛車に挟まれると、ボクのG3はまるで目立ちません。
出たなキュベレイ…
当時のボク達の間では『近奈良に集合』というのが暗黙の了解でして、どこか行くときは必ずここに集まっていました。
写真左手の方には今は無きボクのバイト先“某チキン屋さん”がありました。

ウ『なんでこんなに集合早いねん(怒)』 ←AM6:00
み『夜はどこか泊まってたんですか?』
管『うんにゃ、3時半に出てきた。寒かったわ〜アッハッハ』

アリアリと2人の目に浮かぶ『サムいのはお前じゃ』的な色。
出発地点の奈良に早朝集合だと、そりゃあ普通は前日入りするだろうさ。
こんなボクの性格を良く知っている2人はそれ以上突っ込もうとはしなかった。

みのっちとは昨秋のホルモンうどんツーで会っているが、ウエッチとは小豆島以来4年ぶり。
変わらぬお互いの姿に苦笑し昔話も尽きませんが、そろそろ陽も出てきたことですし出発することにします。
集合場所までわずか15分の所に住んでいながら、既に『寒い』と泣き言を抜かすウエッチを有無を言わさず先頭に。

3台でそのまま国道308号線を西へ10分ほど進み、高架で交わる国道24号線に入る。
24号線、通称“ニイヨン”は京都〜奈良〜和歌山を結ぶ大幹線です。
早朝にもかかわらず交通量はかなり多い。
信号にもしばしば捕まるため、先導するウエッチが『バイパス使うわ〜』と大声で叫んできた。

くっふう、大型車2台と弾丸ライナーですな。
待ってました。
24号線バイパス“京奈和自動車道”は所々が未開通なものの、全線開通までの期間は無料で走れる。
10年前にはまだ高架も出来ていなかったので、24号線を走る他なかった。
柏原以南から五條市にかけては24号線も1車線で渋滞の多発地点でした。
バイパスが整備されつつあるので、奈良市から南奈良へのアクセスは格段に良くなっていますね。

西名阪自動車道の高架下をくぐってすぐ、大和郡山で京奈和自動車道に乗り、しばらくウエッチの先導で走る。
まだ工事中だけあって初めは1車線なんだけど、すぐに2車線の広大なバイパスになる。
い・ま・だ。
追い越し車線にクルマもおらず、ウエッチが安心して流しているところで、一気にアクセルをワイドオープン。

『コォッオオオオオ』
チタンサイレンサーが乾いた排気音を吐き出し、(ヨンヒャクにしては)胸のすくような追い越し加速をかけるG3。
いかにナナハンのドゥカティとはいえ、不意打ちwならこちらにも分がある。
呆れて追いかける気も無さそうなドカを尻目に、くるったように、
アレになったように加速していく。
メーターは……残念、良く分からない。

ちらっとミラーを見ると(純正ミラーはこの速度でも割と視認性は良い)、ピンクの怪しい物体が猛追尾してくる。
げげっ、さすがにハヤブサと勝負する気にはなれない。

一カ所目のバイパス終点が見えたので、諦めてアクセルを戻します。
大和高田でいったんバイパスは途切れ、ここからはしばらく国道165号線を走ることになります。
こちらは24号線のバイパスとして東西に走る4車線の高架道路です。
京奈和ほどじゃないけどこちらも広くて流れは良い。

再びウエッチを先頭に据え置きお任せで走ってもらう。
ボケ〜ッとついて行ってたところ、突然ドカが急ブレーキを踏んで追い越し車線から通常車線にチェンジした。
慌てて後を追うボクとみのっち。

と、さらに左へ
猛烈な車線変更をして突然バイパスの降り口を目指し始めるウエッチ。
道を間違いかけたらしい。
すでに降り口はボクの所からはギリギリだったんだけど、鮮やかなレーンチェンジで何とかインターに向かおうとするも。

『ガリリッ』
それはもう身の毛もよだつようなサウンドがサイレンサー辺りから響く。

管『ちょっマフラーqあwせdrftgyふじこlp;@:!!!!』

換えて1ヶ月も経たないチタンサイレンサーが
分離帯のポールに接触したもよう。
ポールしばく!てか、ウエッチしばく。
前方を鼻歌交じりに走る(ように見える)赤いドカに呪いをかけながら、とりあえず進み続ける3台。
信号待ちで最年少のみのっちが『何やってるんですか…』と冷徹に突っ込んでくれたのがせめてもの慰めか。

20分ほどR24を走ると御所市に入り、ここからはまたまた建造中の京奈和自動車道に乗ります。
この辺りから景色は次第に山深くなってきます。
テンションが上がってきました。
サイレンサーを擦ったことさえなければな…あはははー。

さて、バイパスは片側1車線のためそれほど飛ばすこともなく、穏やかなペースで南を目指します。
それでも信号がないので国道よりは圧倒的にペースは速い。
国道を使ってここまで来ていた頃に要していた時間のおよそ半分くらいだ。
便利になったなあ。

さてここ五條市からは南奈良ツーリングのハイライト、国道168号線“十津川街道”へと入ります。
若かりし頃はここを通って十津川の吊り橋まで走るのが定番だったなあ。
懐かしさにゾクゾクと鳥肌が立ってきた。
十津川街道入り口のコンビニで1回目の休憩をとり、ムチャな車線変更をしてくれたウエッチに
説教をします。
幸い接触したポールは中空の柔らかい物だったため、思ったほどの擦過傷はありませんでした。
でも曇りひとつなかったサイレンサーに傷が付いたのは凹む…あはははー。

一服していると次々とコンビニの前をバイクが通り過ぎ、十津川街道を駆け上っていきます。
定番ルートだけどわりとクネクネしたワインディングなのでスポーツバイクが多い。
テンションも上がります。
早々に休憩を終え出発することに。

管『こっから自由行動な!』

無責任なことを2人に伝え、まずは最寄りのガソリンスタンドへ入り、相棒に給油。
2人も満タンにしている様子だ。
ドカとハヤブサがスタンドを出てくるのを待ち、3台そろったところでリスタート。
いよいよ今回のハイライトだ!

この十津川街道は、奈良市側から見ると緩い上りが続くワインディングです。
道はやや荒れているものの幅も広く、緩急様々なカーブが連続していて走るのに飽きない。
深い山の中を抜けるのでトンネルが非常に多く、さらに気分を盛り上げます。

初めて走った頃は友人のDR250(オフ車)にまるで着いていけず歯がゆい思いをしましたが、あれから十数年。
今日のボクはいつになく上手く乗れてる感じ。
ブレーキのタイミング、アクセルの開度、バンク角、上手く言い表せませんがどれも妙にしっくりきます。
十年経って多少は上達したのか、あるいはG3がボクの好みに合ってきたのか。
たぶん後者です。

リアショックは吊しのままセッティングもしていませんが、実に調子良く動いています。
ギャップのあるところではやや堅さを感じますが、高速カーブではあたかも路面に貼り付いたようにスムーズに曲がれる。
良く言う“オン・ザ・レール”ってやつだ。

まあ、下手なインプレはさておき。
あまりに調子が良いものだから、美しい初春の奈良山地を見ることもなく、ドンドン先に進んでいきます。
日曜にもかかわらず4輪は少なく、いてもHIDの(迷惑な)明かりがミラーに映るとすぐに道を譲ってくれます。
『行かせてなるものかファッキン!』とばかりに車線を
ブロックして、張り合ってくる姫路ナンバーとはエライ違いです。

で、五条インターから走ること20qあまり、ここらで再び休憩を取ります。
もうじき第一目的地の十津川村に入るのですが、思いの外ペースが速いため、時間をちょっと調整します。
休憩に入ったのは吉野の山奥にある道の駅“吉野路大塔”。
和歌山県の高野町までわずか5,600メートルという県境の道の駅です。
なんだこりゃ
みのっちにカメラを渡して撮ってもらったものの見事なピンぼけ。
それ以前にボクは一体何がやりたかったのか。
誰の得になる行為なんでしょうか…。
家族連れの視線をビシバシ感じます。

数台いたツーリング中の方々とちょっと声を交わした後、すぐに出発します。
(時間の調整はどうした?)

この先のR168は集落の中を抜ける極狭ルートとなるため、ゆっくりと細心の注意をはらって走ります。
道はセンターラインのない1車線となり、クネクネ具合もかなりのものとなるが、景色は最高。
熊野川が削り取った深い渓谷の上を、まるで空中に飛び出すかのように錯覚する極狭のワインディング。
肌寒ささえなければ最高のツーリングルートだ。

この辺りも所々バイパスの工事も始まっており、近い将来この超クネクネ道も旧道として使われなくなるのでしょう。
それはそれで寂しい気もする。
とはいえ、深い谷にそそり立つ工事中の橋脚はなかなか格好良く、建造物フェチの管理人には垂涎ものの光景だ。

道の駅からは10q足らずで目的地の十津川村“谷瀬の吊り橋”に到着。
昔は路肩に停め放題だったけど、上記の工事車両も多いせいか、路肩スペースは封鎖されているところが多かった。
まあバイクとはいえ台数が多いと交通のジャマになるだろうししょうがないことです。
我々は有料駐車場に停車しました。
料金はわずか100円。

で、いよいよ懐かしの谷瀬吊り橋を攻略にかかります。
一歩踏み出すと吹きすさぶ寒風に身を切られ、加えてゆっさゆっさと橋全体が煽られている。
これこれ、この恐怖!
精一杯の努力の跡が見えるお二人
橋の詳しい情報はwikiなどで参照していただくとして、とりあえずこの橋は恐い。
写真じゃ伝わりませんが川面までの高さは実に
50メートル。
にもかかわらず歩行スペースは見ての通りウエッチが大股を開くと一杯になっちゃうくらいの狭さです。
しかも表面は木の板!
鉄板で補強してるとかじゃなくて、本当に木の板を渡して
針金でくくってるだけの簡略な作りなのです。
両サイドの針金ネットからは足元が丸見えだし、板には所々虫食いの穴が開いていたり…。
この怖さは渡った人にか分からんだろうな。
石を並べて文字が書いてある
下を覗くとさすがにボクの剛胆なゴールドボールも縮み上がります。 ←?
足元を映すと橋の作りが良く分かりますね。
ハンドメイド丸出しです。
きしむわ、たわむわ、吊り橋の名に恥じない不安定さ。
なんせ高さ54メートルといえば18階建てのビル
ングに相当するんだからなあ。
地元の人や新聞配達の人はこれを
カブで渡るっていうから凄い。
こんなところバイクで真っ直ぐ走ることがそもそも信じられませんけど。
行きはヨイヨイ帰りは何とやら
全景を映すと高さや長さが良くお分かりいただけるかと。
渡りきってから後ろを振り返ると『またこれを渡らなアカンのか…』とゲンナリすることうけあいです。
迂回ルートは徒歩じゃ1時間くらいかかりますし。
ちなみにこの渡りきった終点当たりには『故意に揺すらないこと、飛び跳ねないこと』などの注意書きがしてありますが。

ウ『ははあ、揺するなってか☆』  …と、なぜか嬉しそうな赤のドカ乗り(32)。
み『ちょ、ぜっったい揺すらんといて下さいよ!』
管『おま、揺すったらアカンて!絶対揺するなよ!ぜ っ た い に な !』

完全に
ダチョウ倶楽部のコントになっているお三方。
ちなみにこの大人になれない3名は。
管理人 :基本ボケ、時々ツッコミ。上手いツッコミがないといつまでもボケ続けるため、タチが悪い
みのっち:基本ツッコミ、時々ボケ。最年少で一番の常識人だが、年長者へのいたわりは皆無
ウエッチ :不明。ボケにボケを重ねてくる事が多いため、絡みづらいw

書いてて寂しくなってきたぞ、ボクは(笑)。
さてひとしきり遊んだにもかかわらず、時間はまだ午前10時前。
ウエッチやみのっちはこのまま引き返せば昼食頃には奈良に戻れる時間です。
が。
わざわざ兵庫くんだりから遠征してきたボクがそれをさせようはずがない。
半ば強制的に先に進めることとします。

さすがに眠くなってきたので、この辺りからはまったりペースで走り、和歌山を目指すことにしました。
R168を道なりにどんどん南下。
ひたすら景観の良い渓谷ルートが続きます。

熊野川沿いをどんどん南下していると“川湯温泉”の標識が見えました。
河原の砂利を掘れば即席の露天風呂ができるという有名な温泉です。
川沿いをゆっくり走ると確かにあちこちに大穴が開き、家族連れっぽい一団が湯に浸かっている光景を目にした。
豪快で気持ちよさそうだったから、ボク達も入りたかったんだけど、ひとつ問題が。
皆、水着や浴衣(ゆかたじゃなくてよくい)で入浴してるんだ。
川の脇には何件かホテルや民宿が軒を並べており、そこで貸し出しているのかも。

我々はそんな小洒落た物持ってきていない。
間違いなく、衆人環視の中で
産まれたままの清い姿で飛び込むのは目に見えています。
このふたりはともかく、ボクはそんな
さわやかなストーリーキングはごめんこうむりたい。
そこで川湯温泉から5分ほど引き返したところにある渡瀬温泉に休憩を兼ねて立ち寄ることにしました。
ボクの住んでる西播ではまだ桜は蕾ですが、この辺りになるとちらほら花が開き始めています。
(作中は3月末)
ぼちぼち咲き始めの桜
ボク達の他にも10台くらいバイクが立ち寄っていました。
ちょうどのぼりに隠れていますが、画面の右の方に2輪車が大量に駐車しています。
十津川街道は関西でも有名なワインディングのひとつなので、スポーツバイクがやはり多いようです。
昼食時なのでなかなか賑わっていますね。

ボク達はまず冷えた体を湯船に沈めて十分に暖まった後、併設されている食堂で昼食をとりました。
この3人の入浴に関しては、あまりに規制に引っかかる部分が多いため詳細はカット(爆)。

そうして入浴&昼食後(何食ったか忘れちまった…)。
火照った体を3月の風で冷やしながら、今後のルートを模索します。
集合場所の奈良市からここまで約6時間。
ほぼ奈良県を縦断しました。
ウエッチとみのっちはここで折り返したらちょうど夕食時に帰宅できそう。
距離的にもちょうど良いあんばいです。
しかしそうはさせない、独りで走りたくないここの管理人。 ←何故だ

太平洋が目前に迫っていることを理由に、お疲れ気味の2人をムリヤリ立たせ、さらに先へ進ませることに。
冷えた体も温泉で温まり、昼下がりの南紀は本当に気持ち良い陽気になってきました。
引き続きR168を南下します。

途中で出たばかりのZRX1200ダエ
だかダエグだかとすれ違い、テンションが上がるボク。
実物はかなり存在感がありますね。

右手に熊野川を望みながら緩やかなカーブの続くR168。
路面も整備されてて走りやすく、流れも良いのでストレスのない走りが続きます。
10数年前はこんなに綺麗な道じゃなかった気がするんだけどな。
紀伊山地が世界遺産に登録されて、近年整備されたのかもしれん。
じっさい、道ばたのパーキングや温泉街には観光バスが結構多かったです。
一度はバイクを降りて、修験道を歩いてみたい気もしますね。

ふと川面へ目をやると、高速遊覧船が勢いよく川下へ向かっているのが見えました。
船に手を振りつつ、しばし併走。
雄大な熊野川は水の色も美しい紺碧で超々好ロケーション。
数百メートルはあろうかという大河の対岸はもう三重県だ。
後ろの2台もテンションが上がっているのが見て取れます。

しばらく走った後、新宮市で給油を済ませ、ここからは無料バイパス那智勝浦道路に乗って南西へ向かいます。
ついに近畿の最南端へ到達しましたよ。
ちなみに給油に立ち寄ったスタンドのおっちゃんに『純正や思ったら、けっこうイジッてるな』って言われたG3(ZRX)。
狙い通りです(笑)。 ←最近よく言われる

那智勝浦道路は開通間もないようで、ボクの古いツーリングマップルにはまだ載っていません。
ゆくゆくは湯浅御坊道路と連結して南紀の大パイパスとなるのかな。
で、バイパスに乗って約10分、“那智勝浦インター”で高架を降り、県道43号線を北へ。
県道を10分ほど北上すると日本三名瀑のひとつ“那智滝”に至ります。
照れ屋のお二人
以前来た頃は路駐しても全く問題なかったのですが、やはり世界遺産登録の影響でしょう。
非常に観光客が多く、バイクを運転していても通行人をはねそうな勢いです。
ボク以外の2台はイタリア車と凄い色のハヤブサということもあり、イヤになるくらい視線を集めていましたが。

さすがに大観衆の中で堂々と路駐するのは気が引けるため、駐車場をさがしてそろそろと運転していると。
土産屋の女将さんが手招きをして声をかけてくれた。
『後で買い物してくれたら、タダで良いよ〜♪』
うむ、商売熱心だ(笑)。

ありがたい提案に、3人とも喜んでのせて頂きました。
で、土産物屋に3台を停め、滝まで5分ほど歩く。

本当に観光客が多い。
昔ながらの観光地が今でも盛況なのは、何だかツアラーとしては嬉しくなります。
やっぱさ、海外で阿呆な顔をしてYENをばらまくより、国内消費に回した方がよほど良い旅が出来ると思うんですが。
で、三十路にはけっこう堪える長い石段を下って、滝に到着。
十数年ぶりの那智滝はやっぱり壮観でした。
右からみのっち、ウエッチ、知らん人
この那智滝も世界遺産の一部として登録されています。
詳細は他に譲りますが、那智四十八滝のひとつで飛瀧神社の御神体として祀られているんだそう。
これは帰ってから知ったんだけど、まさか滝自体が神社のご神体だったなんて驚きです。
自然信仰って格好良いわあ。

もうちょっと良いロケーションで撮影すれば良かったなあ。
上述のご神体云々の絡みか、滝壺まで行くには拝観料(?)が必要なんです。
ケチるほどの額じゃなかったんだけど、せっかく無料の駐車場に停めたのに滝代を払うのもなって思いまして。
いや、それってケチってるやん、というツッコミは無しで。

さて、滝に癒されたのち、土産物屋で公約通りw3名とも土産を買いあさり、再出発。
やたら長編になりつつあるので、ここからは一気に端折っていきます。

で、那智の滝を出てから国道42号線に入り、そのまま海沿いを巡航速度で流していく。
R42は紀伊半島の入り組んだ地形に沿って走るので変化に富み、道幅もかなり広い。
道路脇には道の駅や土産物屋、ダイビングショップなどが並び、いやがおうにも旅情気分を盛り上げます。
またこの辺りは奇岩の名所が多いので、ゆっくり流すだけでも本当に飽きない。
たぶんボクの好きなルートナンバーワンはここか、阿蘇のやまなみハイウェイですね。

信号も少なくスムーズに走ること20分あまり。
国の天然記念物“橋杭岩”に到着です。
この構図好き
ボクに絵心があればもっと良い写真が撮れるんですけどね。
実際には岩柱群はもっと多くて、大小入れると40本にものぼるそうです。
全長は800メートル以上もあり、その名の通り“橋の杭=橋脚”を彷彿とさせる豪快な姿です。
伝説ではあの弘法大師が島まで橋を架けようとした名残とのいわれがあるそうです。

ここは駐車場代も無料なのですが、時期のせいかガラガラ。
近くには海水浴場が幾つもあるので、夏場は大混雑でしょうね。

しばしの歓談後、奈良組のおふたりはここらで帰宅の路に着くことになりました。
さすがに翌日用事のある人を宿まで連れ回すわけにはいきません。
ここで2人に別れを告げ、ボクはR42を曲がって県道41号へ入り、潮岬方面へ。
2人はR42を直進し、田辺から高速に乗るとのことでした。
達者でな〜、また
バカ騒ぎしましょう!

で、ボクはもともと泊まりの予定なので、潮岬最寄りのユースホステルに飛び込みます。
繁忙期でもないため、ボクの他に宿泊客は若い白人の
アベックと、自転車旅行中らしき男性だけでした。
太平洋を望む部屋
部屋はユースらしく共同仕様でしたが、女将さんが気を利かしてくれて、大部屋を独りで使えることに。
見ての通り、ここの部屋からは太平洋を望むことが出来ます。
これだけでも十分に癒されますね。

夕食は潮岬入り口のスーパーで買った総菜一式。
アベックが食べてたユースの夕食は近くの海で捕れたと思われる海鮮類がてんこ盛りでメチャ美味そうだったけど。
まあ、ツーリング中はそんなに良い物喰わなくても気にならないから、いいや。

ちなみに。
入浴しようとすると、例のアベックがなぜか
2人そろって男子風呂から出てきてボクと鉢合わせに。
『お先に♪良い湯加減でした♪』的なことを軽妙な口調で(異人語で)言っていましたが、それ以前の問題である。
な ん で 男 子 用 か ら 出 て く ん ね ん。
このボケ外人美男美女が。
更衣室&浴室ともに鍵も付いていないし、もうちょい早ければもとい和式文化を学べと叱りつけてやりたい。
ファッションホテルかよと。
そうして微妙に悶々させられた初日の夜は更けていったのです。



んで、2日目☆
雲の切れ間から朝日が覗く
目覚めたのは早朝6時。
昨日AM3時半に出発したとは思えないほど快調な朝です。
外に出てみると空気は冷たいものの、清々しい朝日が差しています。

出発前の天気予報では昨日が30%、今日が40%。
ツーリング中なら100%といって良いほどの降水確率だったのですが。
今回はお天気の神様(※)も日頃のボクの姿を見て、ご褒美を下さったに違いありません。

で、悶々の原因となった異人アベックと女将さんに別れを告げてユース出発。
すぐには走り出さず、せっかくの本州最南端“潮岬”を散策することにします。
泊まりツーリングの出発前って何でこんなにワクワクするんだろう。

※神様…芸人。副業に俳優や気象予報士も営む石原良純氏のこと。当サイトでは神ry
ダサイポーズ
デート中とおぼしき若者にシャッターを頼みました。
全国のいるかいないか分からないトヨファンの皆様申し訳ない。
見ず知らずの
アベックの前ではボクなんてこの程度の人間です。
とてもじゃないがJOJO立ちなんて無理です。
ダサくて本当に申し訳ない。

で、この潮岬にある芝の広場の脇にはキャンプ場も併設されておりまして。
昨日は気付かなかったけど、いつの間にかバイク乗りたちのテントが幾つも建っていました。
いいなあ、キャンパーって本当に憧れる。
この芝の広場は夏場なんかは一面に色とりどりのテントが設営されて、なかなか見物だったりする。
潮岬灯台
これは広場から200メートル程離れたところに建っている潮岬灯台。
芝の広場もそうだけど、テレビなんかの台風情報ではたいがい映る(笑)。
で、まだちょっと早いけど、のんびり走りたいので、そろそろ潮岬を後にします。
近い将来また来るよ、思い出の地。
若かったあの頃
写真館のコーナーでも上げてたけど、久々にこちらでも。
まだ二十歳過ぎの頃ですね。
といいますか、この頃からバイクが変わってないのが笑える。

閑話休題。
では、現在に話を戻して2日目のスタートです。
ちなみに潮岬は島状の土地が一部で本州と地続きの地形になっています。
繋がっている部分は数十メートルくらいかな。
国道42号からは“潮岬東入口”、“西入口”のふたつがある。
昨日は東入口から入って時計回りに走り、今日は西入口からR42号に入ったというわけ。

そのままR42を西向きに走ります。
適度な曲がり具合が楽しいシーサイドランが続きますが、かなり寒いのでゆっくり走ります。

ゆっくり流していると真後ろを黒っぽいセダンにぴったりとマークされる。
一瞬覆面かとヒヤリとしたのですが、よ〜く見ると乗っているのは若者が3人。
やたら接近してくるので、ちょっと飛ばすと相変わらずぴったりとマーク
終いにはローリングするわ
対向車線にはみ出してパッシングするわとやりたい放題。
ミラーで確認したところ、車高を落としたいかにも仕様のセダンでした。

な ん だ た だ の ガ イ キ チ か。

良くいるんだよ、ソロツアラー見かけると煽りをかましてくる、前頭葉がどうにかなっちゃったヒト達が。
相手にして
バタフライでも抜かれると厄介なので、一気にペースを上げてワインディングを加速する。
2つ3つカーブを曲がるとセダンは見えなくなったけど、追いつかれると
轢き殺されるので、そのままのペースで走る。
で、あっという間に白浜町に到着。
ここでも奇岩の名所“千畳敷”に立ち寄ります。
管理人はいずこに?
ここは柔らかい岩盤が波の侵食で幾層ものテーブル状に削られて出来た海岸です。
起伏のある岩盤は散策するのにもってこい。

で、通りがかりの
アベックにカメラを渡し、本人はテテテテッと岩盤の奥の方に走ってからパシャ。
何処にいるか分かりますか?
アベックからしてみればはなはだ迷惑なヤツである(笑)。
hentaiだと思われちゃいないだろうか?
このアベック、乾いた笑顔で立ち去って行ったから、多分思われているな。

白浜ではあまり時間を要さず、すぐに立ち去りました。

R42へ戻り紀伊田辺市で県道29号線に乗り換えて北上するルートをとります。
これを少し走ると関西一のワインディングとしてあまりにも有名な高野龍神スカイラインへと至ることが出来るのです。
南紀に来たからにはR42とこの龍神スカイラインスカイラインだけは外すことは出来ません。

この県道も路面は荒れておらず非常に走りやすい。
次第に山深くなるワインディングを気持ち良く流すこと約20qあまり、国道425号に合流。
龍神スカイライン入り口まであと20qほどの地点だったか。
国道との分岐点に建っている電光掲示板に『龍神スカイライン
積雪のため二輪車通行止め』との文字が。

なんだってーーーー!?

寒い寒いとは思ってたけど、3月末だしこれは想定外だった。
スカイラインの名の通り最高所は標高1000メートル以上あるのだから、よく考えると分かりそうだけどさ。
昨年の九州ツーリングじゃ一番寒かった阿蘇周辺でも路面凍結まではいかなかったから、タカをくくってたんだ。

軽いショックを受けながら、龍神スカイラインは諦めてR425国道および424号線を海南市に向かうルートをとる。
とはいえ、このR424も最高に走りやすい道路で、休憩所も多くてダムサイドに沿った形状なのでバイクも多かった。
飽きることのない山中ワインディングが続きます。

存分に走りを楽しんだので、観光地を探すべく路肩に停車してツーリングマップルを広げます。
するとすぐ近くに“生石高原”の文字が。

大学付属の農場がこの辺りにあったので昔行ったことがあったっけ。
見るとススキの群生地なんだとか。
高原とか眺望とかいう文字に弱いボクはすぐさま向かうことにしました。
行き当たりばったりの旅って良いなあ。
R424から分岐している生石高原へ向かうすごく細い道をクネクネクネクネ…。
ワインディングよりもマイナー路線に萌える
めっちゃ良い天気ですな☆
上の写真を撮った辺りはかなり標高が高いのですが、それでも集落があることに萌えます。
にしても『龍神スカイライン積雪』の表示がウソのようなポカポカ陽気なんですけど^^;
山ひとつはさむとこうも気温が違うものなのだろうか。

で、再びクネクネクネクネクネクネ…。
上記写真のような綺麗なアスファルトも姿を消し、風化寸前のボコボコ路面に変化しつつあります。
あ〜気持ち良い♪ ←マイナー路線フェチ

しばらく走っていると消防団員とおぼしき人々がホースを持って忙しそうに働いているのが見えました。
ちょうど生石高原の頂上に至ろうかという辺りです。
周辺には何かが焦げるような臭いと共に白煙も漂い始めています。
ゲゲッ山火事かよ!?
…と肝を冷やしていたら。
わくわく
ちょうど春のススキ焼きに立ち会えたようです。
幾人か観光客らしき姿も見え、駐車場への入り口には係員も立っています。
これは運の良い時にのぼってきたものです。
ボクはワインディングとフェリーの次に
野焼きに目がないのです。 ←本当かよ?
G3を駐車場に停めると、パチパチと火の爆ぜる小気味良い音が聞こえてきました。
この距離でもそうとう熱い
消防団員の方々と比較すると火柱の巨大さがお分かりいただけるだろう。
強い風に煽られてブォーーーーーーっと音を立てて燃える火は、まるで神事のような豪快さ。
高そうなカメラを持った人も大勢来られていました。
こうやって春先に焼いておくと灰が肥料となって、また良いススキが芽吹くんだそうです。

ただ。
ススキの中に住んでいたネズミさんやイタチさんたちにとっては
災害以外の何者でも無さそうですが(笑)。
風習をとやかくいうまい。

しばらく業火を見物した後、上ってきた道とは反対側の山裾へ向かうルートで、高原を下る。
これがもう…今までで1、2位を争う荒れ道。

路面は洗濯板のように波打ってるわ、落石はあるは、狭いわ(軽4くらいの幅)で走るのがもう……。
楽しいのなんのww。
写真を取り忘れたのが悔やまれます。
それよりも、地元の人なのか野焼きの見物人なのか分かりませんが、普通にクルマが上ってきたのには驚きました。
バイクでもすれ違のがギリギリ。
車同士だとどうするのか興味もありますが。

さて、生石高原を後にしてからは、単調な走りになります。
そのまま海南市に入って阪和自動車道に乗り、大阪方面へ。
ちょうどこの週末から高速道路休日1000円割引が開始され、混雑が予想されましたが。
上り車線はなかなか空いています。

快調に高速を飛ばして、岸和田SAでいったん休憩&給油を済ませて、再出発。
どんどん北上して松原ジャンクションから近畿道、東大阪ジャンクションで阪神高速へと乗り継ぎます。
途中、覆面パトを見かけてヒヤッとしましたが大事には至らず、そのまま西を目指します。
(覆面を
追い越してから気付くという暴挙)

高速道路は特筆することもなく、ここからは初日に走ったルートを逆向きに淡々と走ります。
で、加古川・姫路を通過、たつの市でバイパスも降りて国道2号線へ。
程なく自宅に到着しました。
バイパスも混雑はなく、珍しく明るいうちに帰宅することができました。
後半は高速ばかりだったので面白味に欠けましたけどね。

さて、久々に走った大和路と紀伊半島。
2人はともかくボク自身はツーリングの原点とも言うべきルートだったこともあり、涙が出そうなほど懐かしかったです。
同じ近畿でありながらなかなか行くことのない南紀方面ですが、豪快なシーサイドはやっぱり楽しい。
奈良は古都のイメージがありますが、南へ行けばとにかく山深く、ひたすらバンクさせて走り続けることが出来る。
何時間もワインディングを走り続けられるルートなんて、関西じゃ他にあまりありません。

刻々と変化していく路面を読みながら走るので、ツーリングに行くだけで上達できるという希有な場所です。
ひとつの
峠をくるくる回ってるだけのヒト達には、この意味が分かんないでしょうけど。
機会があればまたゆっくり回りたい路線でありますね。
UPが遅くなったのはご愛敬ということで^^;

今回の走行距離 初日:約370q 2日目:約390q



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