『明日は大山に行く予定です。』

ある晩、お世話になっている
そーさんちの掲示板を覗いていたところ、ご本人のこんな書き込みが目に留まった。
あ・し・た?
書き込みは夜10時、集合時間は朝10時。
急遽すぎです。

賛同しているのは同じ岡山在住の
ともさんだけのよう。
ともさんとは昨年の琵琶湖ミーでもお会いしたし、ボクの地元で偶然出くわしたこともある。
物静かな好青年だった印象が残ってます。
そーさんとはつい先週(作中は6月上旬です)六甲山ミーティング?でもお会いしたばかり。
一月前にも岡山の峠を一緒に走ったばかりで、ここ最近では一番よくお会いしているZRXオーナーだ。
ふたつ返事で『トヨ、参加しまーす!』と書き込むのが少しばかりためらわれます。

まるで
若いツバメにメロメロになってるおやぢのようではないか。
そこでボクは思った。

黙って飛び入りで参加すればいいじゃないか、と。

天才じゃないか。
そしてワクワクしつつ日付が変わる頃に床に入りました。

起きたのはAM6時過ぎ。
普段通りの起床時間です。
寝起きは良い方なのですぐに身支度を調え、G3(ZRX)の車体カバーを剥がして出発に備えます。
集合場所は岡山県津山市の道の駅“久米の里”らしいから、さすがに時間が早すぎる。
ちょっとネットで遊んで時間を潰しました。

Yahoo!天気によると天候の心配は全く無さそう。
例年であれば梅雨真っ盛りのはずなのですが、今年はどうも少雨の傾向ですね。
農家の方には申し訳ないけど、ツーリングの日だけは降らないに越したことはない。
ありがとう、天気の神様(※)。

で、いつものように家の前の坂をニュートラルで下り、田んぼの真ん中でアイドリング。
晴天の日曜だけあってウォーキングとかジョギング中のおやじさん達が興味深さそうにこっちを見てきます。
見られるの大好き。

※神様…コメディアン石原良純氏のこと。副業に役者や気象予報士も営む。散々ネタにされているが、これは作者の愛情の表れである。
朝日がまぶしい
梅雨のじめじめした湿気もなく、実に気持ちの良い朝です。
G3の目覚めも良好。
とはいえ振動の影響からかテールカウルの破損が進行してたり、ガソリン漏れが激しかったりと最近
アレなG3氏。
高齢のため
だいぶ進んじゃったらしい。
で、アイドリングを終え出発。

町の中を突っ切り国道2号線へ躍り出る。
集合までは十分に余裕のある出発時刻だったけど、こんな晴天の日は否応なしにテンションが上がる。
そんなわけで天下のR2をそれはもうもの凄い勢いで西へ進むボクとZRX。

岡山県備前市の伊部駅近くで右折し国道374号に入り、北上。
さっきまでのR2でも何台か追い越したけど、やたら旧ミニクーパーを見かける日です。
ソロで走っているのもあれば4台くらい連なって走ってるのもいる。

少し走ると対向車にもミニが多くなってきたから、あるいは中山サーキット辺りで走行会があったのかな?
揺れるし狭いしうるさそうだけど、旧ミニは結構好きなクルマだったりします。
クルマって本来ああいう物だと思うんだけど。
ミニの群れに見とれながら、吉井川沿いの美しいワインディングロードをかっ飛ばす。

やがてR374は中国自動車道の美作IC付近で国道179号、通称“イナキュー”へと合流。
これを左折して西へ向かうと、程なく津山市に入ります。
さらに10qほど国道を西進。
幹線道路だけあって片側2〜3車線の広い道で、市内の渋滞に巻き込まれることなくスムーズに走れます。
ちなみにこの辺りはR179と国道53号線の重複区間だったかな。

さらにいうと、あまりに早く到着しそうだったため、
ほぼ全てのコンビニに立ち寄りながら牛歩戦術を図っています。
実際のところ、そんな小技をきかせたところで早すぎなのは免れなかったんだけど。
で、目的地の道の駅に到着。

以前も書いたことがあったけど、ここには実寸?の1/3スケールのガンダムが鎮座ましましていることでも有名。
むしろガンダムのみ有名が集客に貢献しているのです。
お台場なんてメじゃねえぜ
ちまたではお台場の実物大ガンダムという狂気の沙汰のオブジェが人気ですが、こちらも大した物。
だってこのガンダム、個人が作成してるんですよ?
画像じゃちっちゃく写ってるけど、実物は7メートルもあるからもの凄い存在感。
脚部などに油圧シリンダーなんかも内蔵されてて、実際コックピットにも乗り込める。
(無論、危険なため一般の人は乗れません)

一応動かすことを想定してシリンダーを組んでいるらしく、設計段階では歩かせるつもりだったんだとか。
ある意味、お台場ガンダムを超えてる(笑)。
こういうアホは好きよ。

ちなみにモデルとなったガンダムはエウーゴの新型機。
飛行型に変形したり、単独で大気圏に突入したり、戦艦みたいなビーム砲持ってたりとやりたい放題の超高性能機。
一番やりたい放題なのは
パイロットの方だったのだが…。

んで、到着したは良いけれど案の定誰も来ていなかったので、独りでガンダム撮影。
上の写真には大学生くらいの男女が写り込んでるけど、みんな楽しそうだったなあ。
写真を頼みたかったけど、ガンダムをバックにシャッターなんてお願いすると、ガンヲタだと思われるので自重しておいた。
まあ、朝っぱらからバイクでこんな所に来ている時点で
100%ガンヲタ丸出しなんですけど。

で、しばらくガンダムを見ているとフォオン!と綺麗な集合管の音が聞こえた。
駐車場の入り口を見ると黒っぽいZRXが入ってくるところ。
ZRXから降り立った人物は見たことがあるような無いような…。
眼鏡を外しているのでよく見えなかったのです。

参加者か!と心躍らせて待っていたのですが、オーナーらしき人物はそのまま駐車場を出て、道の向かいのコンビニへ。
しばらくして出てきたオーナー氏がゆっくり肩をいからせて近づいてきます(笑)。

よくよく見るとオーナー氏はボクと同じ姫路ナンバーの
ディープパープルさんじゃないですか。
昨年の琵琶湖ミーティングで初めてお会いし、過酷な日帰り箱根ツーリングをご一緒した方だ。
見たことがあるはずです。

デ『早いな〜トヨさん』
管『そんなには待ってないんですけど…、ってディープさんも飛び入りやったんですね』
デ『んっふっふ』

参加表明をしていない県外組が2名。
これはそーさん達も驚かれることでしょう。

六甲山で関西組のミニミーティングがあったことは前述したけど、ディープさんはお仕事で痛恨の不参加。
今回は何が何でも走りたかったらしく、わざわざ姫路から高速を使って津山までお越しになったんだそうです。
本気度が恐い。

で、しばらくお互いの単車を観察して過ごします。
ディープさんの車両は箱根から半年あまりでずいぶん変わってる。
リアショックはボクと同型の黒銀のフルアジャスタブルだし、バックステップも付いてる。
オマケにスイングアームはゼファー1100の物に交換されています。
すげー!
イレブンのアームはちょっと長いそうだし、乗り味がどう違うのか気になります。

何気にあちこちのステーなんかが自作のワンオフになっているのがさすがと言ったところ。
こんど、うちの子のも何か作って(笑)。

話し込んでるとババォンという独特な排気音が轟いた。
聞き紛う事なきRPMサイレンサー、通称P管の排気音です。
P管と言えば那智さんのデュアルライトでチェリーピンクというセンスを疑うCBXのアクセルミュージックが有名ですね。
ええ、ボクはモロにリアルタイム世代でした。

で、岡山でP管のZRXといえば
そーさんを置いて他はない。

デ『グムッ(絶句)』
管『…凄いことになってますね、あの単車…』

入ってきたそーさん号は次週に控えた超ロングツーリングに向けてモディファイが加えられています。
ハンドルの高さを変更し、さらに高速走行を快適化するために風防が取り付けられていた。
風防……
あちらの方々にいまだ熱い支持を受けているア●ヒ風防である。

デ『若いなあ…』
そ『(付けるかどうか)結構迷ったんですが…』
管『いや、これもありじゃないですか?もうちょいヒサシを前に倒してリーゼント風に…』
デ『そしたら、ハンドル絞ったろか?』

悪いおっちゃん2人である(笑)。
厳めしい風防は付いているものの、そーさん号はFCRにブレンボ、ゲイルのアルミ鍛造ホイールが入ってる。
一見すると風防とタックロールシートで
アレな単車に見えなくもないけど、族車とはちょっと異なるレーシーな仕様だ。
少なくともヨンヒャククラスにブレンボの削りだしキャリパーなんて装備している方を、ボクは他に知らない。
コレはコレで格好良いかもしれません。
(その後、風防は純正のカウルに変更されています)

管『あとは
ともさんだけですか?』
そ『だと思います。あ、来たんじゃないですか?』

フォーンと整った4発の排気音。
ワンピースマフラーの音かな?
入ってきたのはマークUカラーのZRXU。
地元津山のともさんだ。

ともさんのZRXは走行距離からは考えられないくらいに、美しいコンディションを保っておられます。
メーターを見なければ5000qも走っていないように見えるんだけど、実際にはその何倍も走ってる。
エンジン周りには塗装剥がれやオイル染みひとつないし、リアにチェーングリスの飛び散った跡もありません。
スイングアームのピボット付近やオイルエレメント付近とか、けっこう磨きにくいところも手抜かりない。
それでいてしっかり走った形跡もあるから大したものです。

車体周りについては、リアのレイダウンが変わってたり、スイングアームが黒染めになってたりと良い感じ。
リアウィンカーの移設キットは削り出しの他車種品、サイドスタンドはステンのアジャスタブルタイプに交換。
などなど、ちょっと珍しいパーツも使われている。
これにはみんな興味津々。
ともさんの車両は見る人が見ると分かる、地味ながらかなり通好みのカスタムなんだ。
めっちゃボクのタイプです。

で、みんなでガンダムの写真を撮った後、ともさんの先導で出発。
道の駅から少し市内に戻り、R179を北上。
鏡野町という辺りでダムサイドをゆっくり走る。
ボクのツーリングマップルにはこの苫田ダムは載っておらず、この辺りのルートはちょっとあやふやです。
道路もここ数年で出来たばかりらしく、路面は非常に綺麗で走りやすい。
交通量も国道とはまるで比較にならないほど少なくて、対向車も皆無。
ストレスのない走行が続きます。

しばらく走るとセンターラインのない細いくねくね道へと入り、せっせとバンクしながら走り続けます。
後ほどマップルで確認したところ県道56号線辺りだったようです。
ともさんやそーさんはこの道は何度か走ったことがあるらしく、狭いブライドカーブも慣れたもの。
ディープさんとボクはけっこう冷や汗ものだったけど、先頭のともさんはボク達を考慮して一定のペースで走ってくれている。
山深い狭小路を走ること2、30分、路肩に寄って休憩を取ることになりました。
緑が目にしみる
ここはそーさんやともさんが走る時に良く立ち寄る場所なんだそう。
左の方には湧き水がちょろちょろと流れ出ていたから、備え付けの柄杓ですくって一口すする。
天然の湧き水とは思えないくらい冷たくて、ノドに染みます。

しばしここでもお互いのバイクを眺めた後、再出発。
この細い道を少し下ると国道313号に合流します。
ちょうど有名な湯原温泉の辺りだったかな。

このR313を北上し、湯原のダム湖を望みながら良いペースで流していると、対向のBMWからパッシングを受けた。
先頭のともさんがややスピードを緩める。
見るとスピードの乗りそうな緩い上りの脇にパトカーが数台。
ネズミ取りだ。

既に
ご契約中らしきクルマが何台か。
幸い我々はスピードを落としていたのと、前にクルマが詰まっていたこともあって難を逃れました。

その後R313から国道482号へと入り、さらに県道422号(?)通称蒜山大山道路へと入る。
少し走ると目的地でもあるジンギスカンのお店へ到着。
この辺りを走る時、いつも目に付いていたお店で、人気なのか本日も駐車場はほぼ満車。
店内もほぼ満席に近い状態です。

入店してまずお金を払い、臨戦態勢を整えます。
ここはバイキング形式のジンギスカン店。
負けてなるものか。
左ともさん、右そーさん、手前がディープさん
まだ開始時はこのようにおとなしかったのですが…。
しばらくすると皆が皆、にくばかり乗せるものだからそのうちにくのてんこ盛り。
その模様はこちらのページの中程に載っています。(そーさんリンクスミマセン)

その様はまさに
男焼き、いや、もはやこれは男祭りだ。

奥の若者2名は元気に食べていますが、胃袋加齢中の手前2名はグロッキー寸前です。
格闘すること小1時間、静かに男祭り終了。
外に出て気付いたんだけど、このバイキングのお店、高校時代の野外活動で入ったことがあった。
あれから18年、外見は老けても中身がまるで成長していないのが泣けてきます。
しかし内臓はというと…。

さすがに4名ともぐったりとしています。
料金は1人2200円もしたんだけど、十分に元は取ったはずだ。
1400円分くらいは食べたはずだ。 ←負け組

ああ、喰った喰った。
走り出すも胃袋が重いです。
ゆっくりと走って大山環状道路へ入り、展望台へ。
ちょっと雲がかかってる
この展望台は大山周遊時には必ず寄る場所。
今日はちょっと雲がかかってるのが残念ですが、梅雨にしては奇跡のような天候ですね。
まあこの後、1ヶ月以上梅雨が明けずに悶々と過ごすことになるわけですが。
別角度から
単車は左からとも号、そー号、ディープ号、G3号の順。
今回のツーリングは走っている時も終止この順でした。
ともさんは大山を反時計回りに周遊するルートを選択して下さったけど、前がクルマで詰まることもなく実に快適な道程です。
時々1車線になったり、迫り出した木々の陰で昼間なのに真っ暗な場所だったりと、なかなかバラエティに富んでいる。
わりとゆっくり目のペースだったから、フロントタイヤがツルツルのボクとしては転ぶ心配がないから嬉しい。

そーさんの話だと、氏がついていけないくらいにともさんは飛ばす方だそうなので、今日はかなり抑えて下さっている様子。
ボクからするとそーさんも追いつけないくらい速いから、ともさんが本気だったら置いて行かれること必死だったろうな。
で、まったりと4台連なって走り、何度か小休憩を挟みつつ大山を周回します。
G3のタイヤチェックをしてるそーさん
ここは2006年の麺食いツーリングでも立ち寄った“大山まきばみるくの里”。
濃厚なソフトクリームはちょっとした名物でたいそうなご馳走なんだけど、今回は食さず。

GERI万歳。 ←プッ
伯耆富士
電線がかぶっちゃって申し訳ありませんが、ここからだと大山が綺麗な稜線を描いているのが良く分かります。
別名“伯耆富士”。
一方、北側から望むと噴火によって形成された激しい岸壁が壮観です。
方角によってまるで違う山のような姿を見せる、これが大山の魅力。
あ、上の画像でしゃがんで熱心に写真を撮ってるのはディープさん。
最年長かつ最遠方の参加にもかかわらずお元気ですね。

さて、そろそろ日も傾いてきたことですし、家路につくことにします。
やはりここからも来た時と同じくともさんが先導して下さいます。

来た時と同じく大山環状道路から蒜山大山道路へと走り、R313へと入ります。
この辺りの道ばたで休憩していると、ボク達の脇を多くのバイクが追い越していった。
車群の中程でしきりに手を振る人がいて、良く見るとブルーのZRXだった。
見覚えのある赤アルマイトの倒立フォークは、隣町に住む
リキくんのものに間違いない。
ちなみに倒立フォークに加えてモノサス+プロアームという超ドヘンタイ仕様のZRXです。(ほめてます)

後日再会して琵琶湖ミーティングにもお誘いしておいたので、お目にかかれる日も近いことでしょう。

さて休憩後はR482号をやや北回りに迂回し、岡山/鳥取県境の人形峠を越えるルートを走ります。
この辺りも国道とは思えないくらいにガラガラで、適度なカーブが走りやすい。
峠の最高部は標高1000メートルに近いらしく、ひんやりとしてて実に気持ち良いです。
もうすぐお別れ
上は最後に寄ったR179沿いの道の駅。
マップルに載っていないので名称は不明です。
夕方とはいえ日曜なのが信じられないくらいに駐車場がガラガラで、経営状況が心配になってきます。
ここでは長居せず、トイレ休憩のみ済ませて再出発します。

そのままR179を南下すると来る時に見たダム湖に到達、そこからは往路と同じくR179をさらに下ります。
津山市内に入った辺りでディープさんは
院庄ICから中国自動車道を使用してご帰宅。
3台でしばらく走った後、津山の市街でともさんとお別れ。
いつものようにそーさんと2台で走ります。

国道53号国道179号分岐点の信号待ちでそーさんに帰りのルートを伝えます。

管『そーさん、ボクはイナキュー(R179)で帰ります!』
そ『分かりました!じゃあ
僕もそうします!』

なんでやねん(笑)。
岡山のそーさんの場合R53を真っ直ぐ南下した方がずっと最短で帰宅できるはずなんだけど。
ボクと一緒にR179を東へ進むと明後日の方角に行ってしまいます。
でもまあ、とりあえず
深く追求せずにそのまま走ります。
30分ほど走ったか、岡山県美作市の湯郷温泉へ到達。

ここでそーさんはR374を南下するそうなのでお別れ。
おそらくそのルートだとそのまま南下してR2を目指すんだろう。
ちょうどボクが朝に通ったルートだ。

走りやすい国道だったけど、すでに真っ暗だし、素直にR53で南下していた時よりも
50qは遠回りになってるはず。
相変わらずの行動力です。
見習わなければならないなあ。
いや良いのか、それで。

で、ボクはそのままR179を東へ進み兵庫県入り。
ホルモンうどんで有名な佐用郡に入り、そこからは国道373号を南下。
30分ほど走るとやがてボクの街が見えてきます。

さらに10分後、無事に自宅へ到着。
走行距離もちょうど良いくらいで、気持ちの良い疲労感に包まれながら門をくぐりました。

急遽参加することとなった今回のツーリングですが、嫌な顔ひとつせずに迎えて下さってありがとうございました。
特にともさんには終止ルートの選択と先導を受け持っていただいて感謝しきりです。
景観といいワインディングといい、申し分ないツーリングルートを堪能できました。
何度も行っている大山ですが、やっぱり中国地方じゃ今のところ一番のお気に入りルートですね。

しかし、タンクからのガソリン漏れには参ったぜ…。


今回の走行距離 約379q

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