さて2日目、起床はAM5時30分頃。 昨夜早めに就寝した事もあって目覚めの良い朝となりました。 バックパッカーらしき同室のおじさんが『イビキかいて迷惑かけたらゴメンね』と断ってくれてたけど、そんな事もなく快眠。 腫れたまぶたを揉みながら、前日コンビニで買っておいたソーセージとパンをかじる。 コーヒーだけは奮発してラウンジで煎れたてのものを買ってきました。 これがあるだけでも朝の目覚めはずいぶん違います。 甲板に出ると新門司港がえらく近くに迫っているように見えたので、急いで着替えを済ませてラウンジで着岸を待つ。 しばらくすると、『ドライバーの皆様はお車にお戻り下さい』とアナウンスがあったけど、すぐには戻らない。 あまり早く車両デッキに降りてしまうと、アイドリングしている4輪の排気ガスで気分が悪くなるので、ギリギリまで待ちます。 10分もするとエントランスにぞくぞくと乗客が集まってきたのでそろそろ頃合いと思い、車両デッキに降りる。 |
上陸待ちの面々 |
遅く降りたつもりでしたが、他のバイクの人はまだでした。 阪九フェリーでは写真のように船尾付近の一画にバイクを停めるスペースがあります。 近距離フェリーだと車両デッキの端っこに4輪に混じって停める事が多いけど、長距離だと専用スペースも用意されているのが嬉しい。 写真一番右が着岸を待つG3。 すでにタンクバッグが載っていますが、航行中はヘルメットなどの手荷物は船内に持って上がらねばなりません。 パニアケースとか取り付けの頑丈な物はそのままでも良いと思いますが。 |
良い門出だ |
こちらは船尾の搭乗ハッチ。 乗船時はこちら側にスロープが設置されますが、降船時は船首が出口となります。 前後共に解放しているのは排ガスが充満しないための配慮なんでしょうね。 やや雲が見えますが、合間には綺麗な青空がのぞいています。 だんだんテンションが上がってきました。 午前6:40、ついに新門司港に完全に着岸。 トラックや自家用車が降車した後で、係員の誘導に従ってスロープを下りいよいよ九州上陸。 思った以上にエンジンが冷えているので駐車場の片隅で暖機しながら、ツーリングマップルを眺めて今日のルートを思案します。 前回は新門司から南下するルートを選んだ。 なら今回は西に向かおう。 そういえば母が九州の“五島列島”は景色が綺麗だと言っていた事を思い出した。 五島は長崎の沖に浮かぶ大小様々な島からなる諸島だ。 隠れキリシタンが移り住んだ事でも有名だが、何より離島という響きに激しく惹かれるものがあります。 今回の旅は出来るだけ普段観光で行けそうでないところを回るという目標をあげていた。 ならば長崎からフェリーで3時間も沖にある五島を外すわけにはいくまい。 というわけで本日の目標は決定。 ツーリングマップルによると五島列島のひとつ“福江島”と長崎港を結ぶフェリーは1日3便と書いてあります。 3便という事は朝昼夕に違いない。 新門司から下道を走っても夕方には長崎に着けそうなので、いっそ高速は使わずトコトコと国道を走っていく事にします。 で、新門司から県道をしばらく西に進み国道10号線へ入る。 10号は交通量が多いので数qばかり南下したところで国道201号へ入り、これを西へ向かう。 201号線も交通量は多めだけど比較的流れは良く、中心部を避けて郊外を走っているので見通しの良い直線が多くて走りやすい。 それにしてもやたら寒いです。 路肩の温度計を見ると8℃と表示されていたけど、体感的にはもっと低く感じます。 福岡県飯塚市に入った辺りで寒さはピークとなり、仕方なくカッパをライダースの内側に着込んだ。 動くとカサカサうるさいですが、背に腹は代えられません。 こんなに寒くなるなら風を通さない革ジャンを着てくるんだった…。 それでもカッパを着込むとずいぶん快適に走れるようになり、再びテンションも上がり始める。 ッキャー!、フォーッ!などと奇声を上げながらアクセルを開けていたものだから、周囲の人の眼にはさぞかし奇怪に映っただろう。 1時間ほど201&200号号線を走っていると、“太宰府市↑”という看板も見えてきた せっかくなのでお参りに行こうかと思ったが、先を急ぐので今回は通過する。 太宰府辺りで国道200号線は国道3号線に合流します。 国道3号線は九州一の大動脈であり片側2車線が続くので流れは非常に良いんだけど、走る面白味はまるで欠けます。 なので5qばかり南下したらすぐに右折して国道34号線を西進する。 34号線を数十分走ると佐賀県に入ります。 某芸人の歌のせいで何もないド田舎のイメージが焼き付いていましたが、国道沿いはなかなか繁盛しています。 少なくとも“バス停の名前が○○さんち前”という事はないようだ。 ほんと逆賊だなヤツは(笑)。 国道34号線も流れは良く走りやすい事には違いないのだが、市街地を走っているためやはり面白味はない。 郊外ってのはコンビニや大型スーパーやホームセンターが乱立していて、どこも似たり寄ったりの光景です。 出来れば山中や海沿いを走りたいのですが、今日は長崎までの最短距離を走る必要があるので我慢です。 だったら高速を使えば良いような気もするが…。 特に飛ばす事もないので燃費はかなり改善していて、九州上陸以降いまだに無給油で走れている。 でも市街地走行は退屈だなあ。 ごく普通の国道であって人気のツーリングスポットでもないので、バイクとすれ違う事も皆無。 淡々と走る事に飽き始めていたところ、シールドにポツっと水滴が付着した。 相変わらず雲混じりの青空が広がっているが、朝に比べると雲の割合が多くなってきています。 まさか、あれか?あれが降ってきたのか?(←口に出すのもいまいましい) 場所は国道34号線と国道35号線の分岐点、長崎自動車道の武雄ジャンクション辺りだったか。 走っていると徐々に水滴の量が増えてくる。 空を見上げると進行方向の西の空にはけっこう分厚い雨雲が鎮座ましましている。 一瞬高速に乗る事も考えたけど、マップルを見ると長崎までの距離は高速も下道もほとんど変わりません。 意を決して走り続ける事にしました。 と男前の決断を下したとたん、バシャバシャバシャと勢いよく水滴が路面を叩き始めました。 ヤッベー!本格的に降り始めやがった! ちょうど前方にコンビニが見えたので慌てて駐車場に逃げ込みました。 こういう事ができるので、コンビニが一概に悪いとも言えないんですよ…。 小汚いライダーファッションや、びしょ濡れでもあまり文句を言われませんし。 |
初日から洗礼を受けた |
路面はビシャビシャですが、すでに青空が広がり始めていますね。 画面中央ではっきりと雲の厚みが異なっているのが分かる。 おそらく西から東に雨雲が流れているのだろう。 一服しながら10分ほど雨宿りすると、すっかり雨も上がりました。 気分を新たに有田町を再び西へ向かう。 時間は正午を回っていたんだけど、いまだに気温は11℃程度です。 九州はもっと暖かいと思ったので薄手のライダースで旅立ったのですが、これが誤算でしたね。 カッパを着込まないと体の芯から冷えが襲ってきます。 焼き物で有名な有田町を通った際も、とにかく寒さを避けて先を急ぎたかったので見物する余裕は無し。 毎度毎度、佐賀県は通過してばかりだ。 地元の方、申し訳ありません。 そんなわけで、この辺りまで代わり映えのない風景と走行に飽きつつあったのであまり楽しい文章は書けません。 信号も多く多くストップ&ゴーが続いたので少々疲れ始めました。 長崎までの最短距離だとこのまま34号を南下した方が良いようだけど、ちょっと気分を変えるべく海沿いの国道202号を目指す。 長崎県佐世保市に入ったところで国道202号に入り、ハウステンボス方面へ進みます。 これまで市街地で退屈だった風景も、この辺りから海が見える事が多くなり気分が高まります。 何でもこの辺りは複雑に入り組んだ海岸線のために渦潮も発生するんだとか。 実はこの辺りまで長崎県入りしている事に気付かず、マップルで確認して『いつの間にー!』と仰天した事を覚えています。 国道202号線に沿って佐世保湾を縦断し、西彼杵半島に入ってから国道206号に乗り換える。 206号を海沿いに数分走り、オランダ村の手前から峠を越える県道12号を使って西彼杵半島を西へ横断する。 ときおり除草作業者が停まっている以外はほとんど交通のない県道峠を勢いよく飛ばして15qほど走ると突然視界が開けた。 景色は山から大海原へ。 西彼杵半島の西端にある大瀬戸町から再び国道202号線に入ります。 すでに雨雲は山の向こうに消え去り、気温は低いものの見事な晴天が広がっています。 九州の端から端へと走った事に軽い感動を覚えつつ、202号線をひたすら南下していきます。 道幅が広く凹凸のない平されたアスファルト道路なので気持ち良くワインディングを流す事ができます。 ツーリングマップルにもお勧めルートのしるしがありますが、けっして誇張な表現ではありません。 |
海と橋とG3と |
海も空も真っ青。 すぐ沖は東シナ海なのか、海の青さが瀬戸内とは異なります。 潮風は冷たいですが陽に当たっているとぽかぽかと暖まってくるので、昼寝をするのにもってこい。 クルマの数も少ないのでかなりのペースで走る事も出来ます。 先が詰まっても白の破線だから追い越し可能だし、たいていの乗用車は左によって道を譲ってくれるのでストレスなく走れる。 長年のカンから、こういった市内から遠いワインディングではレーダー取締りが行われにくいと予想できるので、安心して飛ばす。 この辺りは違反車両を誘導するスペースもないからね。 もっとも、荷物も積んでいるのでそんなにムチャはしないけれど。 |
海が美しい |
ちょっと黄砂が舞っていますが、見事な水平線です。 地球の丸さを実感する。 この美しい光景の中で生理現象を済ませた事は秘密にしておこう。 最近気付いたんだが、どうもボクは写真を撮る際にバイクを中央にとらえない傾向があるようだ。 誰かの影響なのか、クセなのかは分からないけど、時々それっぽい写真が撮れるから面白い。 さて快適な国道202号線を走る事1時間。 途中で地元ライダーお達しという“夕日が見える丘そとめ公園”で休憩をとっていると、ライムのZRX1200が通り過ぎ去っていった。 一瞬だったのでお話しするヒマはありませんでしたが、通り過ぎざまにさっと手を挙げて下さいました。 そとめ公園ではカップルとおぼしきライダーがお互いの単車を乗り比べていました。 アベックで単車乗りだなんてうらやましいぜ、チクショー! (当日の日記にはこう書いてあった) 佐世保市内でスタンドを通過してしまった事と、202号線で頑張りすぎた事が原因でガソリンの残量が心許ない。 そとめ公園を出てからはスタンドを探しながらペースを抑えて走ったので、幸いガス欠するほどの危機は迎えませんでした。 んで、公園から数q走ると突然町が大きくなり、路肩にホームセンターなんかが増えてきた。 節操のなさにちょっとゲンナリしつつも、ようやくガソリンスタンドに入る事ができるので胸をなで下ろす。 給油中、従業員のお兄さんに『姫路からですか!』と驚いたように聞かれました。 『いや赤穂っす』と答えると、『??』と答えに詰まるお兄さん。 世界文化遺産の姫路は知られていても、時代劇の定番赤穂は案外知られてないのですね……。 (※姫路出身と言った方がだいたい通じるのでそう答える事が多いが、トヨさん本当は赤穂なのだ) さてさて海沿いを走る事約20q。 『長崎まで5q』という標識が見えてきました。 あとわずかだ! そのまま走っていると“女神大橋(有料)”という素敵な名称の看板が見えた。 マップルを確認してみると、ボクの持つ2001年度版にはその名称が載っていません。 正確には工事中を表す破線が表示されています。 以前ニュースで長崎湾を横断する大橋が開通し、新ランドマークとなったという話を見た記憶があったが、これだったのか。 地図を見る限り国道を通るよりも市内へ最短でアクセスできるようなので、これは通らないわけにはいくまい。 なんせ通行料金は2輪・4輪(普通)共にわずか100円なんだもん。 元が取れるのか心配になってきますが、将来的に長崎自動車道と合流するそうなのでしっかり採算が合うのでしょう。 wikiによると軽車両等の通行料金は10円だそうですが、これなら無料でも良いんじゃないか…?。 交通量が少なかったので路肩に駐車して記念撮影しようと思いましたが、瀬戸大橋や明石大橋では厳禁行為なので自重しました。 たぶんここ女神大橋でも禁止なんでしょうね。 |
全長は約1q |
これは市内からの遠影。 ちょうど良い撮影スポットが見あたらず、このような中途半端な全景となってしまいました。 クレーンやら何やらがカブリまくっていますね。 実際の橋桁は海面から50メートルほど上方を渡っているので、走行中は長崎港が見渡せます。 夜なんかは夜景が綺麗でしょうね。 さて大橋を渡り終えるとすぐに国道499号で市内へ向かいます。 春らしいワンピの女の子や洒落たジャケットの男の子が行き交う中、ライダースの中にカッパを着込んだ珍妙な格好でG3を駆るボク。 何か浮いてるな…。 それはさておき、10分も走ると無事に長崎港へ到着しました。 ここで時間を確認すると16:00くらい。 ぬうっ、市内観光をするにはちょっと微妙だ。 運行時間を確認すると五島行き最終便は17:00となっていました。 長崎港から五島の福江港までの航行時間はおよそ3時間らしいから、17時便に乗ると20時には入港できる事になる。 ん、行けるじゃん五島。 そこで乗船窓口が開くやいなや駆け寄り、乗船手続きをしてもらう事にする。 これなら五島上陸後すぐに宿を確保できれば、翌日ゆっくり島内観光をする事ができる。 福江港の近辺にビジネスホテルがあるという情報も収集できたので、安心して上陸作戦を練る事ができますね。 情報収集といっても町内会らしき団体の会話を盗み聞きしただけですが。 ここでも乗船券は学生割引を適用する事ができ、かなりお得な値段で乗れました。 |
左の方で高校生のカップルがイチャ付いてた |
乗船したのは九州商船のフェリー“ながさき”。 阪九フェリーとは異なりあちこちにサビが浮き出たかなりの老朽艦ですが、そのくたびれ具合がむしろ旅情気分を盛り上げてくれます。 目鼻立ちのくっきりした男前の係員が愛嬌のあるなまり(?)で誘導してくれる。 バイクはボクだけだけど、家族連れが多い。 またコンテナなどの大荷物も多いようです。 離島なので生活物資もまとめて搬送しているんでしょうね。 すし詰めってほどでもないけど、2等船室はけっこう混んでいます。 例によってバイクは早めに乗船できましたので、2等の角のスペースをしっかり陣取る事ができて一安心。 |
エレエレしているわけではない |
五島の福江港まではおよそ3時間の船旅です。 あいにく長距離フェリーや、香川へ向かう四国フェリーのようにゲームコーナーなどの船内設備は常設しておらず。 なのでテレビを観ながら横になり、しばし仮眠をとる事にしました。 しばらく眠っていたようですが、とつぜん『ンガッ』という自分の盛大なイビキで飛び起きる。 めったにイビキはかかないはずなんだけどな…? 周囲をさりげなくうかがうと、幼子が冷笑を浮かべながらボクを見つめていました。 これは恥ずかしい。 ちょっと視線がイタかったのでいそいそと甲板に出て海を眺める事にした。 上の写真がそれ。 かなり眠ったように感じたのですが、まだ夕日が水平線に沈んだばかりの様子ですね。 もうちょっと早ければ美しい夕日が拝めた事でしょうが。 惜しい事をした。 その後、再び仮眠をとったり一服したりして過ごしているとあっという間に3時間が経過。 瀬戸内と異なり周囲に夜景の見えない真っ暗な海は神秘的でしたね。 定刻通り福江港へ入港し、クルマに続いて上陸するも、周りを見渡して少々戸惑う。 港周囲に何も施設が見あたらない。 というよりもほとんどのお店がシャッターを下ろしているのです。 これはなかなか面白そうな所へ渡ってきたものだと、内心ワクワクしてきます。 ネオンの華やかな繁華街よりも寂れた(笑)駅前なんかの方がずっと旅気分が出るでしょう? 港を出てちょっと走ると周囲よりも少し背の高い建物が見えた。 正面に回ると、見紛うことなく目的としていたビジネスホテルでした。 すぐにチェックインを済ませるも、食事は朝食のみという事なので夜の福江を散策して夕食を求める事にしました。 んが、商店街も9割方シャッターを下ろしており、営業している店というとスナックばかり。 町の中心部を歩き回ること1時間弱、ようやくコンビニ(聞いた事のない社名)を見つけて総菜を買い込んでホテルへ戻る。 戻…。 ・ 歩く。 ・ ・ 戻…。 ・ ・ ・ 歩く。 ・ ・ ・ ・ 戻れない(泣)。 どこだ、ここは。 コンビニまで歩き回った結果、ビジネスホテルの場所が分からなくなってしまいました。 昼間ならまだしも、到着が夜だったものだから、地理感覚が全くつかめません。 歩き回っていると、再び総菜を買ったコンビニが見えた。 樹海か、ここは。 なぜ戻ってくる。 恥を捨てて、店員さんにビジネスホテルの名前を伝えて位置を尋ねると。 『ああ、そこの通りをあっちに曲がってすぐの所ですよ』と嫌な顔ひとつせずに親切に教えて下さいました。 果たして店員さんの言葉に従って歩く事10分、すぐにホテルが見えてきました。 なんで買いに来た時は1時間もかかったんだろうな…。 這々の体でホテルにたどり着き、冷め始めた総菜をかき込んでからシャワーで汗を流しました。 風呂の後、ベッドに横になってメモ帳に今日の出来事を書き込んでいると、急激に眠気が襲ってきました。 翌日の予定を立てていないけど、今日は早めに床につく事にしましょう。 明日はどこまで走ろうかな。 |
※地図の著作権は“白い地図工房”さんにあります |
本日の走行距離 286q |
初日:自宅〜神戸 3日目:五島列島〜長崎〜雲仙 |
一枚戻る 表紙方面 |