さあ3日目の朝。 昨夜も早めに就寝したので携帯のアラームよりも早く、5時には目覚めていました。 テレビを点けて天気予報を観ると、九州全域で午前が30%、午後は70%という素晴らしい降水確率が発表される。 頭を殴られたような衝撃を受けながらカーテンを開けてまだ真っ暗な窓の外を見てみると、星がほとんど見えない。 どうやら厚い雲がかかっているようです。 ゆっくり準備をしていると内線が鳴り、朝食の準備が出来たとの知らせが入る。 食堂に行くとサラリーマンとおぼしき男性や、中年の夫婦が朝食をとっているところだった。 彼らに混じってボクも和定食を腹に収める。 何の変哲もない一般的な和食だったけど、さすがは港町、アジの干物はとっても美味しかったです。 朝食後部屋に戻って再び天気予報を観ると、静岡でゴルフボール大の雹が降ったというはなはだ気分の悪いニュース。 加えてヨシズミの子分達が『あちこちで雷雨となるでしょう』と攻撃的なセリフを吐いていらっしゃる。 外を見てみるがさわやかな青空が広がっています。 しかしこういう時に限ってヤツらは予報通りの結果を出してきやがるんだ。 どう考えても言いがかりとしか思えないような事を考えながら準備完了。 ホテルを7:00に出発し、まずは福江島の海沿いを時計回りに一周してみようと考えました。 福江島は海岸線に沿って島唯一の国道、384号線がぐるりと半周している。 ビジネスホテルのある福江港からはしばらく県道49号を西に進み、ちょうど島の西半分辺りから国道に移行します。 朝食後は青空も広がっていましたが、走り出してややもすると雲がどんどん増えてくる。 |
休耕田に咲く菜の花 |
この写真はまだ県道49号線。 西の空はまだ薄雲なのですが…。 |
今にも雨になりそう |
東の方は厚い雲が覆っています。 午前7時過ぎにもかかわらず、フラッシュを炊いてこの明るさです。 嫌な雰囲気が漂ってきましたね。 心なしか湿度も高い気がしますし、本降りになる前に走りきってしまいたいところです。 49号をしばらく進むと国道384号に入るわけだが、はっきりいって国道よりもこの県道の方が整備されている。 道も広いし路面も平坦だ。 国道384号の、特に島の南岸部分は大変細く路面もアスファルトが痛んでいて、お世辞にも綺麗な道とは言えません。 で、国道に入った辺りからかなり激しく雨が降り始めた。 予測していたとはいえ、降水確率30%で降られると怒りがこみ上げてくるものです。 (自分で“降水確率30%はほぼ雨”と書いておきながら) ナイロンライダースはいとも簡単に水分を浸透し、たちまち胸元がひんやりしてくる。 『しょうがない、カッパ着るか…』 路肩に停車し、この旅初めて上下共にカッパを装備する。 カッパを着たために寒さはそれほどでもなく、雨天ではあるもののそれなりに快適に走る事ができる。 国道384号は路幅が狭い上に曲がりくねっているのでスピードを出す事もなく、マイペースにゆっくり走れます。 それでも徐々に雨脚は強まっていき、10分も走るとグローブもブーツもビショビショ。 また眼鏡などの曇り防止のためにも、シールドを閉める事が出来ず、常に冷たい空気を鼻に当てる事になってしまいます。 おかげで鼻水が止まらず、常にズルズル状態。 注意力が散漫になりながら忍耐の走行を余儀なくされました。 傘を差していても足元が濡れるくらいの雨脚の中、断崖上を曲がりくねる国道386号を細心の注意を払ってソロソロ進む。 雨でなければ最高のロケーションが広がっているんだろうけどなあ…。 しばらく走っているとようやく雨も小降りになっていき、少なくともシールドが水滴で見えなくなるという危機は脱した。 場所を確認すると福江港から島の反対側に当たる玉之浦の半島まで来られた事が判明。 地図上では20q程度の距離なのだが、雨とブラインドカーブに阻まれたため、おそらく1時間程度は所要したはずです。 ここからしばらく国道を外れ、県道50号線で半島の先端を目指そうと思う。 ここの断崖絶壁は一見の価値があるそうだ。 |
人っ子ひとりいない |
しばらく県道を進むと駐車場が見えたのでビショビショになったG3を停車した。 写真を撮った時はすでに雨は上がっています。 平日朝8時過ぎという事に加え、土砂降り後という事もあり観光客の姿は見あたりません。 駐車場から展望台へは画面右奥の階段を上がってすぐです。 濡れたブーツが気持ち悪いですが、我慢して歩く事にしました。 |
苔むす通路 |
展望所までの通路はけっこう苔が生えており、あまり人の往来がない事を物語っています。 生い茂る草や森の木も本州のものとはちょっと種が異なっている気もして神秘的。 ときおり鳥の鳴き後も聞こえますが、これもまた聞いた事のないような声だったりします。 なんせ福岡市内よりも韓国の済州島の方が近い位置に来ているんだもんな。 生態系がちょっと違っていても不思議ではない。 歩いていると晴れ間ものぞいてきました。 このまま午後まで晴れていてくれると助かるんだが…。 で、ここの展望所からは思ったほどの良好な眺めは望めなかったので場所を移動し、撮影ポイントを探す。 |
断崖は高さ100メートル超! |
移動して大正解。 見事な断崖絶壁がそそり立っていました。 これはほんの一部で、実際には国道に沿って最高160メートルという断崖が20qにわたって伸びています。 ああ、これを見られただけでも五島に渡ってきた甲斐があった。 岬の端にあるのが大瀬崎灯台。 五島随一の観光名所という事ですが、なぜかこの近辺からは灯台へのアクセス路が見つからず。 端っこ好きとしては是非とも訪れてみたかっただけに残念です。 鹿児島の佐多岬灯台のようにそうとう歩くはめになりそうだけどね(笑)。 この岬では航海の要所として、古くは飛鳥時代から遣唐使船に狼煙をあげて合図をしていたそうです。 しばらく景色を楽しんでいたんだけど、再び雨がポツポツと落ち始めたので慌ててカッパを着て出発。 半島を来た道に沿って戻り、再び国道384号へ。 先ほどまでと同様に海沿いの国道をマイペースで流す。 この辺りで一度ガソリンを満タンにし、島の西部にある温泉センターを目指すも営業は午前11時からと判明。 まだ午前9時を少し回ったところです。 いくら何でも2時間の足止めはもったいないので、泣く泣く温泉をあきらめ冷えた体のままで走り出します。 福江島南部の国道384号は曲がりくねった狭小路でしたが、西部から北部にかけては余裕のある2車線道路となります。 カーブも緩やかで景色も良く、晴れていれば絶好のツーリングルートになった事でしょう。 残念ながら走れば走るほど雨脚が強まり、島周回の半分を過ぎた頃は傘が必要なくらいの雨量が復活。 ときおり綺麗な砂浜や牧場が現れたりして、変化に富んだ好ロケーションだったのですが、楽しむ余裕はありません。 終止、石原良純およびその手下たちへの恨み節が口をついて出ました。 ひとつ雨が好都合だった点が。 現在履いているフロントのバイアスD501+リアのラジアルGPR100という組み合わせは、ウェットでも十分に走る事ができます。 勢いよく切り返したりしない限り、接地感も適度に保たれていますし、ドライとあまり変わらない感覚で運転できる。 って、こんな事実践して判明したくないしなあ…。 ツーリング中は雨なんて降らないに越した事はない。 島周回3/4くらいのところで国道はやや内地に入り、海沿いルートは県道162号線へと分岐する。 この海沿いの県道162号を走れば五島列島で最も有名な“堂崎天主堂”に向かう事ができます。 堂崎天主堂は世界文化遺産に暫定リスト入りした“長崎の協会群とキリスト教関連遺産”のひとつだそうです。 ここは隠れキリシタン伝説の島。 何としてでもいくつかの教会には行きたかったんだけど、残念ながら雨のためにパスせざるを得ません。 先ほどまで海沿いを走っていた国道384号で内地を走り、福江港を目指します。 相変わらず強い雨が降っていますが、タイヤに信頼感を持ったので普段とあまり変わらないペースで走る。 特にこの辺りは急カーブが少なく、やたら飛ばすクルマが多かったので後ろについて同じペースで流していました。 福江港に着いたのは10時半くらいだったか。 ツーリングマップルで見ると小さい島に思えたが、実際に周遊するとけっこうな時間がかかるものです。 しかもこれはほとんど走り続けたうえでの話ですから。 とまあ、ここまで書いてからよ〜くツーリングマップルを見て愕然。 福江島のページだけ24万分の1と縮尺が小さくなっている! つまり1センチが2qに相当する縮尺という事。 普通のページは12万分の1で1センチが1q相当の縮尺です。 福江周辺は他のページよりも見かけ上小さく表示されていたんだ(驚)! 他のページと同じ感覚で走っていたら実際には倍の距離を走っていたという事になる。 マップルって市中心部以外は全て同じ縮尺だと思っていました。 ちょっと手持ちのマップルを調べると瀬戸内海の小豆島や淡路島は内地と同じ12万分の1の縮尺。 伊豆大島や佐渡島も同じく12万分の1。 沖縄本島も同様。 ところが島根県の隠岐島やここ五島列島、屋久島、奄美大島、対馬などは24万分の1と縮尺が小さくなっているのだ。 面積だけ見れば淡路島と屋久島はほとんど同じなのに、この違いはなぜだろう。 いわゆる離島と言われる地域は縮尺を小さくしてページを節約しているのかもしれません。 話がずれた。 福江港に入りターミナルに駆け込んでようやく一息つく事ができた。 ココアで体を温めたあと、時刻表を見ると次の便は12時半の長崎港行きしか見当たりません。 そういえば、このフェリーは1日3便しか運行していないんだった。 あと1時間以上あるがシトシト降り続く雨にモチベーションが下がり、これ以上の島観光を続ける事を断念してしまう。 係員に『乗船までどこにバイク停めといたらいいですか?』と尋ねると、『じゃあこっちに』と案内してくれた。 見ると駐車場からターミナルへ続く歩道の思いっきりド真ん中。 歩行者のために屋根が設けられているので雨はしのぐ事が出来ますが、停めちゃって良いのかな? 聞けば、乗船までレーンに並んでいても良いけど、それだと雨天駐車になってしまうのでお客様に申し訳ないとの事。 いやあ、こちらこそ歩道を占拠して申し訳ないんだけど……雨をしのげるのでありがたくお言葉に従う事にします。 ターミナルロビーは暖房が良く効いていたので、濡れたブーツも脱いでおくとわりと早々と乾いてきます。 グローブはライダーらしくキャブとクランクケースの隙間に押し込んできました。 これけっこう乾燥に効果的。 乗船までかなり時間はありましたが、すでにロビーは多くの客で賑わっていました。 家族連れが多いようですが、バイク乗りはさすがにボクくらい。 そういえば島内では1人もライダーに会う事がなかったなあ。 中には中学生くらいの団体さんもいたりして、ワイワイと盛り上がっていた。 みんな制服を着ていたので部活か何かの遠征かと思っていたのですが。 出航時間になってその謎が判明しました。 |
濡れるのもおかまいなし |
出航の汽笛が鳴ったと思ったら、何やら外が騒がしくなってきました。 何事かと思ってデッキに出てみると、先ほどロビーで談笑していた中学生たちが船に乗らずに埠頭から何か叫んでいます。 『○○先生〜ありがとうございました〜』 『○○先生のご栄光を願って〜ドンドンドン(鳴り物)』 すぐ脇をみると30歳くらいの男性が恥ずかしそうにしつつも、彼らに『ありがとなー!』と声を上げています。 生徒たちの手には紙テープや“○○先生ありがとう”と書かれた横断幕も見えます。 ああ、どうやら転勤になった担任の先生を港まで見送りに来ている生徒さんなんだろう。 |
ドラマみたい |
船が岸壁を離れても生徒達は濡れるのもかまわずに埠頭を走って追いかけてきます。 恥ずかしそうにしていた先生もさすがにこらえられなくなったのか目頭を押さえていましたね。 やばい、もらい泣きしそうだ。 ボクと同じくらいの年の先生に見えましたが、よっぽど生徒さんに好かれていたのでしょうね。 こういう先生に教わった生徒も、こういう生徒を担当した先生も、どちらも今後の人生に多大な影響を及ぼすに違いない。 幸せだよなあ。 さて福江島に来た際は長崎港からの直通便でしたが。 福江港発のフェリーは長崎港に着港する前に、いったん五島列島のひとつ“中通島”の奈良尾港へ立ち寄ります。 福江港を出てすぐに雨は上がり、空には晴れ間が広がってきました。 天気予報では午前30%、午後70%って確率だったのに、これじゃあ逆だ。 じつは、この奈良尾港でも。 |
すっげー |
次々と紙テープが投げられ、映画か何かのワンシーンのようです。 こちらでは中学生たちが先生とおぼしき若い女性に声援を送っていました。 マドンナ先生だったのかな? 生徒たちのみならず保護者も見送りに来ていました。 見送る生徒はかなりの数が集まっていますが、これくらいの規模の島だとほとんど学年全員が集合してるんじゃないかな。 最近は教師を格下と思いこんでいるモンスターペアレントなんていうバカ親が増えている中、ここの人たちは本当に暖かい。 見送られる女先生とは関係のない他の一般客も笑顔で手を振っていました。 ボクなんて完全に無関係なただのツアラーなんですが、こちらにテープが投げられるとついつい嬉しくなってしまいます。 なお、投げられた紙テープは後ほどしっかり回収されていました。 |
サヨナラ離島 |
こちらの生徒さんたちも船が小さくなるまで手を振っていました。 それにしても、ただ教師が転勤するというだけで本土の学生はこれだけ大がかりな見送りに来たりするだろうか。 たぶんボクが中学生だった頃は『だせえ』なんてソッポを向いてたんじゃないかな。 つまらない大人になりつつあるボクも、この光景を見ているだけで心が温かくなりました。 こういう先生や生徒たちがいる限り、日本の教育現場は腐ってないと思えますね。 さて、奈良尾港を出たフェリーはおよそ3時間かけて長崎に着港。 行きと違って直通便ではありませんが所要時間はほとんど変わりませんでした。 長崎港着は16:00。 空はすっかり晴れわたり、西日が気持ちよい時間になりつつある。 しばし今後の行方を思案します。 長崎市内を観光して市内で宿泊するか、明日以降に都合が良いようにできるだけ走っておくか。 しばし悩んだ後、とりあえず行けるところまで行ってみる事にした。 といいますか、朝食以降何も食っていないのですが…。 長崎市内から国道34号線を使ってひたすら東へ進んでいきます。 雨は上がっているのですが、市内の路面はまだかなりウェットです。 リアタイヤが水を跳ね上げて背中をドロドロにしてしまうので、港を出てからもずっとカッパは着たままです。 西日が差す中、カッパを羽織った珍妙な格好の姫路ナンバーが面白かったのかやたら煽りをかましてくるビッグスクーターが1台。 相手にしてバタフライでも抜かれると厄介なので、辟易しつつもおとなしく市内を走る。 やがてビグスクは左折してどこか郊外へ去っていった。 ボクはそのまま国道を西へ。 市外で通行料100円の矢上大橋を渡り、ここからは国道251号線、通称“島原街道”を雲仙方面に向けて走ります。 走りながらルートを練り直し、雲仙越えで島原市を目指す事にする。 これは3年前の九州ツーリングで使ったルートのちょうど逆。 帰宅時間帯ですが混雑していたのは長崎市内くらいで、251号線では大きな渋滞には巻き込まれませんでした。 信号が少なく直線区間が多いので交通量は多いものの比較的流れは良好。 しばらく走ると見晴らしの良い“千々石展望台”が見えたので、撮影を兼ねて休憩に入る事にする。 |
雲仙岳には雲がかかっている |
この展望台、橘湾に沿った崖の上に設営されているのですが、端の方にヒビが走っていて“立入禁止”の看板が下がっています。 手すりなんかアスファルトが陥没しているせいでえらく傾いちゃっています。 下手したら手すりごと崖の下にドシーンです。 あまりにも危険ですから、近寄らないようにしましょうね。 あいにく今回も“じゃがちん”なる謎の食べ物の正体は判明せずじまい。 長崎市からの距離はそれほどでもないのですが、市内の渋滞でかなり時間を消費してしまっています。 展望台ではすでに太陽が沈み始めていたので、休憩も早々に先を急ぐ事にします。 千々石展望台を出ると国道は57号線へと変わり、カーブを描きながら緩やかに登っていく。 57号を走る事10分、硫黄の臭いが辺りに漂い始め、路肩の側溝からは湯気が立ち上るようになってきた。 小浜温泉に入ったのだ。 “公共風呂”の看板に心が傾きそうになるが、まだ辺りは薄明るいのでさらに進む事にする。 小浜温泉からは国道57号線は曲がりくねりながら雲仙岳を越える山岳道路へと姿を変える。 路面はやや乾き始めているもののまだウェット。 といっても斜面である事も手伝って水はけは良く、けっこうな勢いでぐいぐい登っていく事ができます。 ときおり前方にクルマの姿が見えるが、G3がミラーに映るとすぐに脇に寄って道を譲ってくれます。 ペースは上がりがちですが、ボクの苦手なつづら織りのヘアピンカーブが連続しているので注意を払いながら進みます。 今回の旅で一番のスポーツ走行を楽しんでいましたが、どうもキャブの調子がよろしくない。 開けても失速する傾向が顕著なので、連続するワインディングはちょっと苦しいですね。 ピークパワーよりもスムーズに回転が上がるようになれば、山でも速いバイクに出来るんだけどな。 これは帰ってからの宿題としておこう。 ぐいぐい山を登ること数10分。 再び硫黄の臭いが鼻を突くようになってきた。 おおっ、雲仙温泉だ。 雲仙岳の中腹くらいまで登ってきたか。 温泉の地熱のためか心なしか下界よりも空気が暖かい気がする。 辺りはすでに夕闇に包まれ始めています。 暗い中で見知らぬ土地を(しかも山)走るのは危険すぎる。 今日はここ、雲仙温泉で宿をとる事にしよう。 温泉街の中央にある観光案内所を見つけたので急いで駆け込んだ。 『すいません、飛び込みで泊まれそうな宿を探しているのですが。あと、安いところ』 およその予算を伝えると『うーん、その値段ですと素泊まりのみになってしまいますねえ』と渋い顔の案内員。 素泊まりでも別に良いが食事処はあるのかな、などと考えながら案内員のくれた宿の一覧表を眺めると“国民宿舎”の文字が。 値段を見ると2食付きでも素泊まりの宿Aと値段は変わらない。 『あ、あの!この国民宿舎は飛び込みムリですか?』 『もしかすると、この時間からだと夕食は用意できないかも知れませんが……ちょっと聞いてみますね』 そう答えてわざわざ国民宿舎に問い合わせてくれる案内員。 (素泊まりとなると困ったなあ…) しばらく受話器の先の相手と話していた案内員氏、くるっと振り返って『大丈夫だそうです!』と嬉しいお言葉。 紹介状を書いてくれ、国民宿舎の場所を詳細に教えて下さいました。 書いたところで一銭にもならないのに、本当に親切にして下さいましたね♪ 国民宿舎は温泉街の中心部から少し外れた森の中にあります。 教えてもらわなければちょっと分かりにくい位置です。 民家もあるので迷惑にならないようアイドリングに近い回転数でゆっくり走っていると、道路脇を歩く男性が手を挙げてきた。 『ん?』 何の合図かと思って停車すると、大きな荷物を持った初老のおじさん。 『ちょっとお尋ねしたいのですが、国民宿舎っていうのはこの先であっておりますか?』 『あ、ボクもそこを目指しているんですよ。案内書の人がこの道一本って言ってたので、多分あっていると思いますよ』 なにせ温泉街中心部に立てられられていた看板には“国民宿舎アト800メートル”と書いていたんですから。 徒歩だと不安になる距離だ。 『ちょっと待ってて下さいね』 ちょいとG3を走らせて先を見ると間違いなく“国民宿舎青雲荘”の看板が立っている! 大きく手を振っておじさんに合図を送る。 どうやら伝わったみたいなので、ボクはさっさと駐車場にG3を停めてチェックインを済ませにロビーへ入った。 外観は料金からは想像が出来ないくらいに立派なホテルで、貧乏性のボクはちょっと怯んでしまう。 フロントで紹介状を見せて事情を説明すると、特に問題なくチェックインできました。 すでに夕食の準備が出来ているという事なので、風呂は後回しにして先に食事を済ませる事にします。 何せ12時間以上何も食べていなかったんだから…。 夕食は立派な懐石風の和食。 他の家族の姿もあったので写真は撮っていませんが、かなり豪華でした。 つみれの入った吸い物、タケノコと木の芽の和え物、トビウオか何か(?)の造りなどが特に美味かったです。 値段から考えると十分にお得な内容かも知れませんね。 |
広すぎる |
通された部屋がこれ。 全部は写っていませんが畳の部分だけで10畳分、イスのある部分も加えると16畳はある広い広い和室です。 左手のクローゼットの裏側には入り口やトイレがあります。 テレビは42インチくらいの大型液晶。 エアコンは完全ビルトインだし、畳も新しくて擦り傷すらありません。 座布団の枚数を見ても分かるように、そもそも1人や2人用の作りではないようです。 押し入れを開けると毛布や布団が6組くらい入っていたもんな…。 なんか広すぎて申し訳ない気がします。 といいますか、落ち着かない(笑)。 部屋に浴室は備わっていないので、入浴する際は大浴場を利用します。 ここのお風呂は雲仙の天然温泉です。 湯は泥の粒子の混じったにごり湯だった。 浴槽の底には泥が沈殿していたから本当に源泉かけ流しなんだろう。 宿泊中は清掃中を除いて24時間入れるというので、食後と深夜の2回入浴して十分に温泉を堪能しました。 こ れ は あ く ま で も、余談ですが。 フロントのお姉さんたちがやたら綺麗でした。 あ く ま で も、余談ですが。 そんな事はさておき。 入浴後、広い部屋の端っこに布団を敷き(←貧乏性なのだ)、ツーリングマップルで翌日の予定を考える。 阿蘇方面を走るか、鹿児島まで南下するか。 実は翌々日の3/29には宮崎県都城市でZRXのミニミーティングがあるのです。 これにはなぜか岡山から日帰りというあんまりといえばあんまりな日程でそーさんが参加される。 というよりもそーさんが主賓みたいなものだ。 これには何としても参加したいので、出来るだけ南下しておいて霧島辺りで宿泊するのが良さそうだ。 そうなると島原辺りからフェリーで熊本に渡るのが最適か。 阿蘇から高千穂ルート、人吉・えびのルート、天草ルートなど、この辺りは本当に楽しそうな道が多くて悩む。 詳細は走りながら考える事にし、今日は就寝する事にします。 明日晴れるかな。 |
※地図の著作権は“白い地図工房”さんにあります |
本日の走行距離 189q |
2日目:新門司〜長崎〜五島 4日目:雲仙〜島原〜霧島 |
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