雲仙の朝はそれほど早くなかった。 九州初日はフェリー着港の関係上5時半に、五島でも早めに就寝したため5時には起床していたのですが。 昨日は温泉に入るため深夜まで起きていたので、朝食開始時間を過ぎてようやく起床。 あわてて食堂に行くとゴルフ関係者と思われる団体さんとブッキングしてしまったようで大混雑に巻き込まれる。 夕食は団体客と個人客は別々だったのでボクの他は家族連れが数組くらいで静かなものでしたが、これは誤算です。 朝食はバイキング形式だったのですが、ずらりと団体さんが渋滞していたので一回りするだけでも20分ほどかかってしまう。 中高年の人が多かったのですが、割り込み/逆回りの連続でもう現場は大混乱。 バイキングのマナーは守りましょうよお…。 で、1度目の皿を空けた後は並ぶのが面倒だったので、さっさと部屋に戻って出発の準備をする。 外は快晴のようなので今日はカッパはいらないか。 それでも標高が高い所にいるので、念のためインナーをもう1枚増やし、万全の態勢で外に出ました。 |
全景はもっと大きい |
なかなか大きいでしょう? 最上階の左端の方がボクの泊まった部屋です。 今まで国民宿舎という所に停まった事はありませんでしたが、値段を考えると民間の宿よりもお得かも知れませんね。 設備もしっかりしてて、防音やプライバシーの確保も申し分ありませんでした。 画像が小さくて分かりにくいですが、入り口左手の軒先にG3が停まっています。 駐輪場がなかったのでフロントのお姉さんに尋ねると、雨を避けられるこの軒下に停めて良いと言われました。 玄関の真ん前なのでけっこうジャマかと思ったのですが、せっかくなのでお言葉に従いました。 バイクの扱いが悪い宿も多い中、この心遣いは嬉しかったですね。 ボクが外に出ると、ちょうど例の団体さんも出発するところだったらしく、玄関でハチ会う。 玄関の左脇は喫煙所になっているので、おっちゃんたちの良い見せ物になってしまいます。 『どっから来たんだ?なにぃ姫路から!』 と、この旅で良く聞くセリフに苦笑しつつ、暖気させながら一服する。 それほど気温は低くないのに、わずか一夜でアイドリングが怪しい。 そろそろヘッド回りは開けた方が良いのかも知れませんね…。 暖機終了後、おっちゃんたちの声援(笑)を受けながら出発。 |
大地の息吹 |
有名な雲仙地獄巡りの辺りでしょうか。 中学の修学旅行で地獄巡りに行った記憶があるのですが、ちょっと今回は立ち寄る余裕がありませんでした。 硫黄の臭いってボクは好きですが、長時間吸っちゃうと体に良くないんですってねブルブル。 撮影だけ済ませ、国道57号をさらに登っていく。 やや進むと“有料道路”の看板が見えてきました。 マップルで確認すると雲仙岳の周囲をぐるりと囲むように走っています。 これは楽しそうだ。 入り口ゲートで通行料250円を支払うと、『まだ濡れている所が多いから気をつけて下さい』と職員さんが声をかけてくれました。 礼を言ってG3にムチを入れる。 この“仁田峠循環自動車道路”は全長8qの小気味よいワインディングだ。 道幅はやや狭いものの、反時計回りの完全一方通行なので対向車を気にする必要もありません。 夜間は通行止めで、営業時間はたしか8時から18時くらいだったか。 ボクが入ったのも営業開始間もない時間だったので他に走っているクルマの姿も皆無で、非常に快適に走れます。 ただ紅葉時期等の行楽シーズンは路肩に停車して写真撮影しているクルマも多いそうだから、注意が必要です。 本当は2カ所ある展望所以外での駐停車は禁止なんだけどね。 なお、09年以降は雲仙市の管轄となり無料開放される予定だそうですが。 そうなると不法投棄や暴走行為などが問題になってきそうで恐いな…。 職員さんが言っていたほど路面はウェットでなく、9割方乾燥していたのでハイペースで登っていく事が出来ました。 途中、第二展望所に立ち寄る。 |
絶景かな絶景かな |
島原市および島原湾が見渡せます。 空気が澄んでいれば大分県の九重連山まで見通せるという大パノラマ。 この展望所で雲仙岳の5合目だというから、頂上付近の展望はさぞかし見事なものでしょう。 残念ながらロープウェーはまだ営業時間でなく、登頂するのは諦めざるをえません。 この展望所から北を振り向くと、有名な普賢岳および昭和新山がそびえています。 |
悲劇の跡とも言える |
40名以上の犠牲を出した雲仙普賢岳の火砕流は記憶に新しいですね。 ほぼ中央のひときわ高い部分が一連の火山活動で形成された昭和新山です。 昭和新山は長崎県の最高峰ですが、特筆すべくは1990年から95年というきわめて短期間にこの山体が形成されたという事。 当時の報道では“火山ドーム”と称されていた部分ですね。 わずか5年でこれだけの新峰を形成するとは、まさしく“地球は生きている”と実感するに十分な光景でした。 |
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ |
他に観光客の姿もなかったのでセルフタイマーで撮っています。 決して件の火砕流の悲劇を冒涜するつもりはありませんが。 いったい、何をやりたいのだろうボクは。 この有料道路は全長8qほどなのであっという間に走り終えてしまいます。 通行料金は2輪なら250円と割安ですが、せっかくなのでゆっくり楽しみながら走ると良いですね。 料金を払う価値は十分にある道路です。 しばらく雄大な光景に見入ったあと、有料道路をぐるっと回り再び国道57号線に戻る。 国道57号はこの辺りで最高地となり、あとは下りになります。 上りに比べるとやや緩やかで走りやすいですが、ほとんどのカーブに減速帯が敷かれているので注意が必要。 また、前をクルマが走っていたのでそれほど飛ばせませんでしたが、それでも流れは良いです。 東に向いて下っていき、30分もすれば島原市内へ到着。 市内を少し走った後、島原港に入ります。 |
何度目のフェリーだろうか |
九州のフェリー乗り場は近代的な建物が多いです。 先日の五島行きフェリー乗り場も、ドーム状の屋根を備えたやたら立派なエントランスがありましたし。 ここ島原港のターミナルも中に郵便局や土産物屋が何店舗も並んでいたりして、設備は充実していました。 島原港からは天草の三角港行き、熊本新港行きの九州商船および高速船のオーシャンアローなどいくつか船舶が発着している。 係員に次の便を尋ねると、九州商船の熊本新港行きが最速だという。 その次便まで約40分の待ち時間で、フェリーの所要時間は約60分。 現在時刻は9時半だから、11時過ぎには熊本入りできそうだ。 できれば今日は霧島辺りまで南下したいところなので、次便に乗船し熊本からは高速道路で移動する事にした。 しばらく待つと熊本新港行きフェリーが入港し、例によってバイクは1番最初に乗船できた。 船のサイズ、設備共にいつも利用している宇野〜高松間フェリーと同クラス。 豪華な設備ではありませんが、こぢんまりしたなかなか快適な船です。 島原港を出港してしばらくすると、船を追いかけるように海鳥が周囲を舞う姿を見る事ができます。 |
流線型の渋いフォルム |
ユリカモメだろうか? まるで船と戯れるように、すぐ近くをかすめて飛んでいます。 |
めっちゃ見てやがる |
流麗な飛翔を見せる連中ですが、ただその愛らしい姿を披露しに来ただけでなく、彼らなりの考えがあっての事なのです。 遊びに来ただけでなく、真の目的は観光客の放ってくれる餌。 野生動物はそれなりに打算的なものです。 |
どこまでも青い空 |
しばらくするとだんだん数が増してきます。 カメラに写ってない連中も入れると、この倍くらいの数が舞っています。 飛び交うカモメの姿を見て、子供連れのお母さんたちが売店で売っていた“カモメの餌”を放り始めました。 餌といっても、どうみても市販のスナック菓子でしたが…。 |
阿鼻叫喚 |
餌を見るやいなや、たちまちカモメたちはデッキすれすれまで飛来し始めます。 ものすごい密集度は見ての通り。 ときおり隣のカモメと衝突してヒュ〜ンと墜落しますが、それでもめげずに再浮上してきます。 中には観光客の手から直に餌をさらおうとするたくましいヤツもいたりして、もう可愛いんだか何だか良く分かりません。 1〜2羽ならまだ可愛いですが、これじゃまるでヒッチコックの映画。 乳幼児なんか恐怖のあまりマジ泣きしています。 それにしてもこのカモメたちの必死具合にはちょっと笑ってしまいます。 これだけ死闘を演じてまでスナックを取り合ったところで、得られるカロリーはわずかなもの。 船に併走しながらホバリングする方が、はるかにエネルギーを浪費してしまうと思うのですが。 でも中にはちゃっかりしたヤツもいて。 |
クールだな、お前 |
上空の喧噪などおかまいなく、船に着陸して羽を休めている要領の良いヤツもいます。 この他人とは思えない要領の良さ、まるでモーターライズド・何とかの管理人を彷彿とさせる(笑)。 で、カモメたちとたわむれている間に船は熊本新港に着岸。 港を出て数q東へ進み大動脈の国道3号線へ入った後、今度は南下。 国道を10qほど走った後、松橋インターで九州自動車道に乗ります。 この旅初めて高速道路だ。 今回は下道オンリーの旅にしようと思っていたけど、ちょっと時間がおしているので少し距離を稼ぎたいところです。 松橋インターからはひたすら南下するルート。 平日という事もあり2車線ともに非常に空いており、大変スムーズに走れます。 しかし徐々に標高が上がってくると吹け上がりが怪しくなり、なかなか気持ちの良い運転ができません。 琵琶湖ツーまでにはキャブのセッティングを改善しておかないとなあ…。 それでもメーターのほぼ8〜9割くらいまでは出せるんだけど。 開け閉めした時のツキが悪いので楽しくないのよね。 しばらく進んでいると、なぜか路肩に白バイが停車しているのが見えた。 ヤッベ! ちょうど凄いスピードでバンクしていたところだったのですが、うりゃっと無茶なブレーキングをして安全圏に速度を落とす。 こんなところで白バイとランデブーしている場合ではないのだ。 あまり興味がなかったのか、あるいは誰かが犠牲になった後だったのか、さいわい追尾される事もなくその後は平穏に進む。 九州自動車道は適度なカーブが多く、単調になりやすい高速走行も気持ち良く走れます。 普通、高速を造る際はできるだけカーブは減らすんだろうけど、この辺は九州有数の山岳地帯だし、曲がらざるを得ないんだろう。 家族連れでミニバンなどを運転するならカーブは少ないに越した事はないんだろうけどね。 バイク乗りとしては、お金を払って乗るなら楽しい道に越した事はないです。 またこの辺りは高速道路としては驚異的なほどにトンネルの数が多い。 ボクが利用した57qの区間だけでもざっと10本近いトンネルが連続している。 出たり入ったりの連続なのでなかなか視力の明暗順応が追いつかず、恐い思いもしますが、これはこれで面白い。 一番長いものだと6qくらいはあるんじゃないかな。 ほぼ一直線だしトンネル内という事で横風もなく、どこまでもスピードを出せそうになる。 しかし暗いトンネルであまり飛ばすのは自殺行為なので、自重しながら走行。 それにしても高回転時にバラバラと不ぞろいな燃焼をしている気がするんだが、何だこれは。 40分ほど走った後、人吉インターで九州自動車道を降ります。 せっかく霧島まで下るのだから、有名な人吉ループ橋を見ておきたかったのだ。 で、高速を降りた後、国道沿いのコンビニで休憩を取りました。 昼時だったので近所の主婦や会社員でけっこう混雑しており、広めの駐車場もほぼクルマで埋まっています。 それでもドア前の車椅子用スペースはしっかり空けられていました。 人吉市民は優しい人が多いのかな。 当たり前の事なんだけど、これができない関西人に爪の垢でも飲まして差し上げたいものです。 ヤツらは他が空いていてもわざわざ車椅子スペースに停めるからな。 話がずれた。 その後なぜか人吉市内で妙に迷い、しばらくぐるぐる回りました。 国道がやたら狭い上に突然折れ曲がっていたりするんだもんな。 で、なんとかループ橋へ向かう国道219号線を見つけ、市外を少し出たところで南へ向かう国道221号線に乗り換え。 マップルではお勧めルートの印が付いているものの、トラックやバスがずらりと連なっており、ストレスの溜まる走行でした。 うーん、空いていれば楽しそうな道なんだけど。 追い越しもできず信号がないのですり抜けもできず、しばらくは忍耐の走行が続く。 気がついたらループ橋を越えちゃっていました。 あー。 ループ橋は大きな弧を描きながら一気に高低差を稼ぐ構造で、2回転も回る巨大なものは初めてでした。 付近に全景をとらえる事の出来る撮影スポットがないのが残念でしたね。 人吉方面から通った場合、堀切峠以南は広く整備された道路で、延々と高度を下げていく感覚がとても楽しかったです。 国道221号線をしばらく下り続けると、道はえびの市内へ到着。 えびの駅で紺色のZRXとすれ違うも、ボクの方は曲がり角に停車して地図を見ていたので相手は気付いていなかったろうな。 翌日の参加者なら嬉しいんだけど。 えびの付近から霧島へのアクセスルートはいくつかあるが、最も分かりやすい県道30号線を選択します。 |
ああ、良い天気 |
道沿いのガソリンスタンドでG3に満腹食わせてやりました。 小さな小さな個人経営のスタンドでしたが、とっても優しいおじさんが経営されていました。 姫路から、と言うとみんな優しくしてくれます。 ソロツーリングっていうのは人の温かさがよけいに身にしみるんだよね。 あ、ちなみに上の写真は激しく修正しています。 普段ツーリング写真を加工する事はまずないんだけど、ド真ん中に電柱と電線が走っていたもんで…。 撮影ポイントをしっかり選べば良かったが。 奥に見えるのが霧島山系です。 さあ、どんどん走りましょう。 このこぢんまりした村を通過すると、霧島バードラインという細いながらも走りやすい山岳路に入っていきます。 時々中央分離帯のない1車線になる事もありますが、交通量は皆無に近いので比較的安心して走れる。 しばらく走ったところで何者かが木々の間からこちらを見つめていたので、慌てて停車すると。 |
プリティ |
親子の鹿が路肩でくつろいでいました。 奈良に住んでいたので鹿はあまり珍しくありませんが、やはり野生の鹿には興奮してしまいますね。 人慣れしているのか、わりと近くに寄っても逃げる気配はありません。 むしろ子供が道路の中央でうろつくので、危なっかしくてしょうがありません。 しばらく観察していると2頭は木々の奥に消えていきました。 実のところこの辺りは鹿の多発地帯らしく、少し進んだところでは“鹿に餌をやらないで”という看板も出ています。 そんなに珍しいものでもなかったのか。 少し走るとえびの高原に到着。 |
高原風景が美しい |
この辺りは標高1000メートルくらいのはずですが、それほど寒さは感じずぽかぽかした春の陽気が気持ち良い。 画面手前には“賽の河原”という縁起でもない名前の岩場が広がっています。 その名の通り小石を積み上げているところもあったりして、ちょっとゾッとしてしまう。 |
崩落の危機 |
この辺りは古くから硫黄の産地として有名だったそうで、岩の中には黄みがかったものも多いです。 見ての通り、岩場はたいへん脆い様子で順路が完全に岩に埋まっています。 マイナーな観光地(失礼)だと思っていましたが、かなり観光客は多く、フル装備の登山客もちらほら見られます。 霧島山には多くの登山ルートがあるそうで、多くの登山客も訪れるようです。 天孫降臨の神話の舞台としても有名ですね。 ここからえびのスカイラインを少し下り、ツーリングマップルにある市営露天風呂に入ろうと思ったのですが。 なんと潰れていました。 観光客用の温泉は営業していたのですが、市営のひなびた温泉というところに惹かれていただけに残念です。 少し落ち込みつつ、とりあえず霧島ユースへ向かう事にする。 ここえびの高原ではオフ車やダビッドソン、レプリカ車など多くのバイクと遭遇しました。 特にダビッドソンのおじさんは行ったり来たりして何枚も写真を撮っていたようで、幾度もVサインをしてくれましたね。 ああ、ツーリングしてるって実感する瞬間です。 県道1号線、いわゆる霧島スカイラインはアップダウンの楽しい風光明媚な観光道路だ。 走り出してすぐ路肩でメジャーを出して何かの測定をしていたお巡りさんを見かけたが、彼も笑顔でこちらを見送ってくれる。 大丈夫です!遵法走行であります。 スカイラインをしばらく走ると路肩のあちこちで噴煙が上がり、温泉宿がちらほら現れ始める。 この辺りは1軒宿が多く安価で入湯できるようだ。 マップルには“混浴露天風呂”という心躍る文字も見えるが、ここはグッと欲望を抑えて先を急ぎます。 急勾配の連続ヘアピンで構成される県道1号線を細心の注意を払って下っていくと、国道223号との合流点に出る。 この223号を5qも走れば目指す霧島神宮に到着します。 ユース入りする前にトイレを済ませようと、近くの“道の駅霧島”へ入りました。 ツーリング中なのかバイクが2台停まっているのが見える。 ペコリと頭を下げて駐車場へ入り、久々にバイク乗りと話がしたくなったので、恐る恐るG3を近くに停車する。 そばに立っていたオーナー氏とおぼしき2人の男性も、笑顔で会釈を返してくれた。 1台はシルバーのXJR1200、もう1台は……ZRXだ! 赤いボディに倒立フォークという激しいカスタムが施されているようだ。 (ちょ、どっかで見た事ないか、これ) いや、どこかで見たとかいう話ではない。 翌日の宮崎ミーティングを主催して下さったflowerさんの仕様にそっくりなんだ。 そっくりというか、どう見てもflowerさんのZRX−Uそのものです。 (な、なんで?) すると一方の男性がやや緊張気味の(?)笑顔で近寄ってきました。 『あ、あのう、トヨさんですか?』 『(やっぱり!)それじゃあ、flowerさんですか!』 間違いなく、flowerさんその人でした。 髪の長いさわやかな青年。 過激なカスタムマシンから強面の人物を想像していましたが、とても人当たりの良い優しげな方です。 ちょうど旅立った直後に掲示板に書き込みをして下さっていたが、まさか前日にここで出会うとは。 宮崎とお聞きしていたので宮崎市の方かと思っていましたが、聞けば都城周辺の方だとか。 霧島は鹿児島県ではあるものの、ほぼ宮崎県都城市と県境のため、距離だけ見ればごく近距離です。 この辺りも時々走りに来られているそうですが。 『それにしても今日はどこまで行くか書いていなかったのに、ここでお会いするなんて、すごい偶然ですね』 『本当ですねえ。ちょうど今さっき上がってきた所なんですよ』 もしボクが高速を使わなかったり、温泉に入ってたりしたら、まずここで出会う事はなかっただろう。 近所ならあり得るかもしれないが、初対面同士でこれだけの偶然はまずないだろう。 バイクに乗っていると本当に楽しい事が多い。 |
中央の男性はXJRのオーナー氏 |
聞けばXJR氏とflowerさんも顔なじみではなく、たまたまこの道の駅でご一緒されたんだそうです。 年配の方でしたが、えらく刺激的な排気音のマフラーを装備し、年を感じさせない加速で山を登って行かれました。 なかなかのちょい悪っぷりだ。 お名前をお伺いするのを忘れていましたが、とってもお話面白かったです。 もし見かけられましたら、掲示板にでもお越し下さいね。 しばしの談笑の後、まずXJRさんがご帰宅され、日が陰りだしたのでボクたちも解散する事に。 『トヨさん、今日の宿は決まりましたか?良かったらウチでもかまいませんが』 『嬉しいんですけどユースに連絡入れてますし、温泉に入りたいので今日はユースに行きます』 今後は宿泊費を浮かせたいところなので、とってもありがたい申し出だったのだけど、上記の理由で辞退しちゃいました。 本当に親切な方です。 でも初対面で家を荒らすのも申し訳ないしなあ…。(←荒らすな) もうしばらく霧島を走るというflowerさんに別れを告げ、再び国道223号を下る。 といっても道の駅からユースまでは目と鼻の先ほどの距離なので、10分もかからずに到着です。 バスロータリーの脇にある霧島神宮前ユースホステルにチェックインし、部屋に入って一息つく。 通された部屋は8畳ほどの和室で、わりと清潔。 ユースの部屋は蛸壺という印象の所が多いが、ここは普通の和室を客室にしているので窮屈感はない。 『あとでまたバイクの人が来るらしいから、相部屋になるけど良いですか?』 『あ、ぜんぜん構いませんよ』 話し相手のいないソロツーリングだから、むしろバイク乗りなら歓迎だもん。 荷物を整理してから入浴して汗を流す。 ここの風呂は霧島温泉の源泉を引いているので、もちろん天然温泉です。 屋上には露天風呂もあるので、入ろうと思ったけど、まだ明るいために周りからあり得ないほど丸見えです。 (暗くなったらまた入ろう) といってもユースの屋上は周りの建物よりも少し高いので、のぞき込まれる心配はあまりありませんけど。 入浴していて気付いたのですが、今日1日だけで目の回りを日焼けしたようで、湯が触れるとヒリヒリする。 春でも1日中日射しを浴びるのは良くないですねえ。 スモークシールドでも紫外線は遮れないので、UVカットのシールドか日焼け止めを塗っておくんだった。 三十路のお肌は紫外線が大敵なんだ。 入浴後、近くでうどんを食べた後、せっかくなので霧島神宮へ参る。 明るかったら印象は違うかも知れませんが、すでに辺りは真っ暗になっており、ただただ不気味な雰囲気が漂っていました。 明るいうちに参っとくんだったな…。 それでも境内には何組か観光客の姿があります。 よーく見るとカップルばかり。 (アベックで神社参りしてんじゃねえぞ、ファ〜ン?) よく考えると霧島は坂本龍馬が妻のおりょうと日本初といわれる新婚旅行に訪れた地でしたね。 カップルが多いのもうなづける話です。 拝殿前では初老のお巡りさんが黙々と1人で、白洲の玉砂利をトンボ(?)で平していました。 地元の交番のお巡りさんだろうか。 公務とは別にこういう事もしてくれるなんて、地元民の鏡のようなお巡りさんだ。 拝殿で手を合わせた後、酒屋で菓子を数点購入してユースへ戻る。 一服していると襖がノックされて、若い青年が入ってきた。 『すいません、おじゃまします』 『どうぞどうぞ、なかなかバイク乗りと一緒になる事が少なくて、寂しかったんですよ』 見ると革ジャンを羽織って大きなザックを背負い、観光客とは思えないほどにインナーを着込んでいる様子。 誰がどう見てもバイク乗りの服装。 『バイクで来はったんですか?』 壁に吊られているボクのライダースを見て彼も気付いたのだろう。 “来はった”久々に聞く関西弁に、ちょっと嬉しくなった。 『はい、3日前くらいに姫路から。関西の方なんですか?』 『ええ、大阪です。2号線を走ってきました…(疲)』 ……ちょっと待て。 2号線って国道2号線の事か? ここまで下道で来たなんて、500qや600qじゃきかない距離だぞ。 よくよく聞くと、2号線を走り続けて九州までどれくらいかかるか試してみたかったんだとか。 この霧島ユースに到着した時点で4日目と言っていましたが。 なんというヘンタイな青年だ(ほめてます)。 電車男の伊藤くん(チビノリダー)をシュっとした感じの好青年でしたが、なかなかどうしてとんでもない行動力です。 2号線という事はボクの実家近辺をも走っているわけで、少しその話題でも盛り上がりました。 彼はそんな以前の事はあまり覚えていない様子でしたけどね。 その後しばらく(仮)伊藤くんと語り合っていたのですが、彼の入浴中に仮眠をとろうと布団に入ったところ。 ぐっすり熟睡してしまい、翌朝まで目覚める事はありませんでした。 なんだかんだ言って高速走行で疲れていたのでしょうね。 今日は天候にも恵まれ、予期せぬ出会いなんかもあったりして、実に楽しい1日だったなあ。 さあ、明日はいよいよ宮崎ミーティングだ。 |
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本日の走行距離 223q |
3日目:五島〜長崎〜雲仙 5日目:霧島〜都城〜阿蘇 |
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