阿蘇ユース2日目の朝はずいぶん早く目覚めました。 前日寝たのが早かったのと、天候が気になって自然と目覚めてしまったのでしょうね。 時間はAM5時。 談話室兼食堂が開放されるのは7時過ぎですが、早朝出発の客のために5時から入浴は出来る。 さっそく朝風呂を堪能した後、外に出て一服。 やや雲が残っているものの、晴れ間がのぞき始めている。 これは今日の天候は期待できるかもしれません! 部屋に帰ると同室者も起き始め、それぞれ準備を始めていた。 ボクも彼らにならって早めに準備を完了。 洗濯物やメットの内装は完全に乾いていたけど、さすがにブーツはまだ濡れています。 それでも詰めた新聞紙が水分をしっかり吸ってくれたので、前日ほどビチャビチャではありません。 これならまたコンビニ袋を重ねて履けば、走っているうちに乾燥するだろう。 準備を終え、タンクバッグをG3に乗せ、それ以外の小物やカッパをシート下に押し込んで準備完了。 7時半になったので食堂に入ると、皆が集まっていました。 前々日から連泊しているのは、例のアマ写真家氏と(仮)フグくん、雨で足止めのソロツーリング氏、そしてボク。 新しい顔ぶれは徒歩旅行の青年と自転車旅の中年男性の日本人2名と、日本語が異常に上手いスイス青年の計3名。 この日本語ペラペラスイス人には(仮)フグくんが大興奮で母国語で話し込んでいた。 同郷のよしみか、それとも別の事情か。 後者なら恐いですが。 このペラペラスイス氏、床に入る時は『ヨコニナリマース』とずいぶん流暢な日本語を話していましたが。 どこで“横になる”なんて渋い言い回しを覚えたのだろうか(笑)。 あまり話し込んでいると出発が遅くなるので、後ろ髪を引かれながら8時頃に出発。 『今日も泊まりに来る?(笑)』 なんてユースのおばさんが言って下さいましたが、さすがに今日は先に進みたいところです。 阿蘇ユースは山頂へのアクセスルートのひとつである県道111号線の脇に建っています。 なのでユースを出るとすぐに気持ちの良い阿蘇登頂ワインディングとなります。 夜明け前まで雨が降っていたらしく、路面は湿ったままなのであまり飛ばさずにゆっくりと登る。 雨上がりのためか非常に気温が低いです。 登れば登るほど体感温度は下がっていきますが、早朝と言う事でクルマほとんど走っていません。 気持ちの良い高原ルートをすいすいと走り、すぐに草千里に到着。 |
どこ? |
え〜と、草千里なのですが、霧まみれですね。 なんにも見えません。 草千里でこれだと、山上の光景が心配になってきます。 再び走り出すも、この霧の中ではカーブの先が全く分からないので、細心の注意を払って走ります。 寒いのはともかく、視界がないのは大変困ります。 対向車と全くすれ違わない事が唯一の救い。 ゆっくり走っていると山頂の駐車場に到着しました。 レストランは早くも営業を開始しており、何台か客の車も停まっています。 これが全部観光客なのだろうか? みんな早起きだなあ。 この山頂駐車場からは阿蘇町営有料道路でさらに上に向かう事ができ、火口まで走っていく事ができます。 身を切る寒さに震えながら、G3を阿蘇山上に向かわせる。 |
こちらも真っ白 |
阿蘇山上もやっぱり深い霧。 凄まじい寒風に身が切られそうです。 上の写真も一見霧に見えますが、氷のかけらが風に混じっています。 気温はおそらく5℃もないでしょう。 これだけの霧で低気温にもかかわらず山上には何組か観光客の姿が。 物好きな人が多いな。(←バイクで登った人間が一番酔狂だろ) みんなあまりの寒風に『ギャーッ』と悲鳴を上げています。 火口まで近寄るも、やはり何も見えません。 他の観光客は皆、寒さに耐えられず、すぐにクルマに戻ってしまい、歩いている人の姿は少ない。 ボクの他には大学生くらいの男の子が4人、“阿蘇山”の看板を背に撮影していたくらい。 どうも全員で集合写真を撮りたかったらしく、シャッターを押してくれる人を探していましたが。 ここまで歩いてくる観光客はほとんどおらず、しばらくして現れた工事関係者にカメラを頼んでいました。 なぜ近くを歩いていたボクに頼まなかったかって? 多分スモークシールドのフルフェイスをかぶったままで歩き回っていたからでしょう(マジで)。 だってあまりに冷たい風で耳と鼻がちぎれそうだったんだもん。 あまり長居すると体調に関わりそうなので、10分も滞在した後すぐに下山しました。 再び111号線を下ってユース前を通りすぎ、前日も走った国道57号線へ。 国道に出て阿蘇を振り返ると山頂付近は完全にブ暑い雲に覆われていました。 (あの中にいたとは…) しかもその雲がかなりの速さで流れており、空をみるみる覆っていきます。 嫌な予感がします。 朝食がまだだったので国道沿いのコンビニでおにぎりを買って囓っていると、駐車場の水たまりにポツリ。 (……!?) 目を疑ったのですが、よく観察しているとまたポツリポツリ。 うっわ〜やっぱり降ってきたよ。 昨日で雨天走行は懲り懲りだったので、走り出すかどうかしばらく軒下で思案していると。 ザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!! あっという間に強い雨に。 さすがに苛立ちがこみ上げてきますが、どうしようもないのでしばらく雨宿りする事にします。 ホットココアを飲みながら雨空を睨みつけていると、作業ツナギ姿のお兄さんが話しかけてきた。 『ツーリングで雨は困りますね』 『そうですねえ…昨日びしょ濡れになったばかりなんですよ…』 作業ツナギだったのでバイクショップの人かと思ったのですが、趣味で着ているとの事。 古いCB750FBを直しながら乗り続けているという渋い趣味の方だった。 ちょうど今日作業をしようとツナギで気合いを入れたものの雨なのでコンビニに買い物に来たようです。 しばらく立ち話に付き合ってくれ、去り際に『どうか気をつけて下さいね』と励まして下さいました。 本当にソロツーリングは良くバイク乗りが話しかけてくれる。 そうして15分ほど話しているうちに雨はほぼ小降りになった。 念のためカッパを着て走り出す。 57号線を東に数q走り、北へ曲がって県道11号線に入る。 いよいよ九州ツーリングのハイライトと称されるやまなみハイウェイに入ったのです! ここを走ると九州にいることを強く実感します。 田園の中を北に突っ切った後、いよいよワインディングに突入します。 まずは小刻みなヘアピンを繰り返しながらどんどん標高を上げていきます。 先ほどの大雨で完全に路面がウェットなので、ヘアピンのつづれ織りは非常に苦しい。 クルマもやや多いのでゆっくり走って、初めのビューポイント“城山展望所”へ到着。 |
阿蘇が見えないのが悔しい |
盆地の田園が可愛らしい。 田植えシーズン後はさらに美しく見えるでしょうね。 相変わらず阿蘇に雲がかかっているのが残念ですが、雨が上がったので気分は良い。 家族連れやカップルなど、観光客もしきりにシャッターを押していました。 ボクの他にバイクも1台いて、大阪ナンバーのハヤブサのおじさんが景色を楽しんでいました。 話を伺うと昨日別府へ着いて、2日ほど九州を楽しむと話されていました。 恐れていたこの先の“やまなみ”の具合を尋ねたところ。 『雨は降っとらんかったけど、峠はむちゃくちゃ寒かったですよ。雪やったわ』 と、あまりに不安な返答。 無事に別府へたどり着けるだろうか。 ハヤブサ氏に別れを告げて、やまなみを上がっていきます。 しばらく走ると再び雨が降り始めました。 なんという嫌がらせ。 幸いコンビニ以来カッパを着たままだったので、そのまま走り続けます。 道はいよいよ緩やかなアップダウンを描く高原道路へと変化し、やまなみハイウェイ随一の稜線を見せ始める。 雨はすぐに止み路面も乾いてきました。 おそらく阿蘇方面から徐々に雲が流れてきているのでしょう。 先へ進めば雨から逃げる事ができるかもしれません。 道路脇の牧歌的風景に見とれながら、気温は低いが気持ちの良い走りを楽しめます。 ああ、これぞやまなみハイウェイ。 さらに走ると熊本/大分県境の牧戸峠へと達する。 ここはやまなみハイウェイの最高所で、標高は1200メートルを超えます。 恐らくハヤブサ氏が言われていた雪の峠もここの事でしょう。 以前走った時も路肩に雪が残っており、肝を冷やした覚えがあります。 こちらも幾重にも連なるヘアピンをクネクネと走りながら、標高がどんどん上がっていく。 反比例して気温はどんどん下がっていく。 いよいよ指先がかじかんでどうにも我慢できなくなった頃、最高所のパーキングエリアに到着。 レストランなどは閉まっていましたが、自販機があるので体を温める事にしました。 |
霧に見えるも… |
カッパを脱ぐと寒いなんてもんじゃありません。 上の写真だと見えにくいですが、一見霧のようなのは激しい吹き降りの雪です。 少しG3から離れると車体にうっすら積もるくらいの勢いで降っています。 今日で3月終わりなんですけど…。 さすがにこれだけの標高だと春はまだまだ先のようです。 |
ウソだろ… |
なんと!レストランの軒先にはツララまで下がっています。 どうりでホットの缶コーヒーがあっという間に冷え切ったはずです。 これじゃ、気温は零下になっているんじゃないだろうか。 路面が凍結しないか心配になってきます。 それ以前に寒さそのものに体が耐えられるか心配ですが。 とりあえず良いネタが出来た事にほくそ笑みながら、先を急ぐ事にしました。 このパーキングが最高所なので、後は下る一方。 峠を下りながら10分ほど走ると温泉郷が見えてきます。 大分県九重町の九重九湯であります。 文字通り九つの源泉からなるこの温泉地。 極寒の峠の中腹にありますから、暖かそうな湯気や硫黄の臭いを嗅ぐともう我慢できません。 あまりに冷え切った体を温めるために、マップルにある“九重観光ホテル”内の大浴場に入る事に。 入浴だけなら料金も銭湯並みで安く、他に入浴客もおらずボクひとりの貸し切り状態です。 おそらくチェックアウト時間後だったので宿泊客がほとんど出発した後だったのでしょうね。 平日という事も幸いでした。 しばらく大浴場で温まった後、露天風呂に移ります。 依然わずかに舞っている小雪がとっても風流です。 これを1人で独占できるなんて、贅沢な話だ。 しっかり体を温めた後でリスタート。 峠は下り切りましたが、それでも標高は1000メートルくらいなので寒さはあまり変わらない。 さすがに温泉の効能で体の芯が温まっているので、しばらくは快適に走れます。 道路脇には有名な“ウエスタン乗馬牧場”が見えてきて、厳しい峠風景から牧場風景へと変貌しました。 乗馬を楽しむ家族が脇道を闊歩していたりして、とってものどか。 しかし残念な事に入浴している間に雨雲が追いついてきて、再びポツリポツリが始まってきました。 やまなみハイウェイの風景をゆっくり楽しめず、うんざりしながら先を急ぎます。 幸い本降りになる事はなく、降ったり止んだりの繰り返しなのでそれほど苦痛でもないですが。 この辺りからはゆっくりと標高を下げながらやまなみハイウェイ終点の水分峠に至る。 ここで県道11号から国道210号線に入り、湯布院方向に向かいます。 水分峠の標高は700メートルほどなので寒さはそれほどではありません。 峠のパーキングでカッパを脱いで一息ついていると、落ち着く間もなくまたポツリポツリ。 今日もダメな一日なのか…。 慌ててカッパを着て走り出すも、湯布院に至る前に土砂降りに襲われました。 これほどの強い雨では湯布院に立ち寄る余裕もなく、さらに先を進む。 3度来て、3度とも湯布院は通過しているな(涙)。 湯布院を抜けた後は国道210号から再び県道11号に入り、ここからは美しい由布岳を越えていきます。 相変わらずの土砂降りのために、すでにブーツも手袋もビショビショ。 せっかく昨日乾かしたのに〜。 由布岳の急勾配も完全ウェットで、上方からとめどなく雨水が路面を流れ降りてくる状態。 それでもこの由布岳越えは上り一方通行の2車線なので、ラインも広く使えて安心して走れます。 この間も書いたとおり、ウェットの走破性もけっこう高いので恐怖心はあまりないですね。 それにしてもいまいましい雨天走行。 やめ〜!早くやめ〜! と念じてのが通じたのか、由布岳頂上辺りになると次第に小雨に変わり、下りでは晴れ間ものぞき始める。 青空と共に別府湾が木々の隙間にのぞいた時は、思わず神様に感謝しちゃいましたね。 まあ神様といっても、いつもの気象予報士ですが。 急カーブの連続だった県道11号線は大分自動車道の別府インター辺りから緩やかな勾配の直線となる。 やがて県道は国道500号線へ合流し、別府市内を一直線に下る幹線道路となります。 せっかく別府に来た事なので、500号を少し山側に走ったところにある“別府温泉保養ランド”で泥湯に入る。 温泉にしては値が張りますが、いくつも種類のある湯に入れるので複合温泉施設だと思えば妥当な値段か。 決して混浴露天風呂があるから入ったわけではありませんよ。 ええ決して。 泥の感触は奇妙なもので、しばらく慣れませんでしたが、湯に浸かっているとこういう入り方もありかなと思う。 上がり湯がなぜか冷水しか出ず、泥を完全に落とせなかったのがマイナスポイントだけど、まあ泥湯なんだから仕方ない。 露天は……うん、確かに混浴でしたね。 世紀を何度もまたいでいそうな高齢の女性と。 若い女性もいたようだけど、端の方で静かにされていたようで良く分からなかったし。 まあ、ツアラーは混浴がどうとか全く気にしませんから、残念でもなんでもありませんが。 で、露天に入っているとまたポツリポツリと水滴が落ち始める。 ぐわ〜っまたかよ。 さっきまでの晴天はどうしたんだ。 慌てて湯から上がり、体を拭くのもそこそこに外へ出る。 とりあえず今日の宿は観光センターででも探そうと思っていたのですが、走り出すと一気に雨脚が強まり土砂降りに。 ため息をついて、ひとまずコンビニで雨宿りしながら今後を考える。 まだ時間は16時にもなっておらず、市内観光をするには十分な時間があります。 しかし正直なところ、2日続けての雨天走行にもう運転も観光もする活力が薄れてしまっていました。 そこで雨が小降りになった頃を見計らい、コンビニから出てすぐ近くの国道沿いの民宿に飛び込みました。 値段は以前の国民宿舎よりも割高で、今回の旅で一番高い宿になってしまいましたが、別府では相場よりも安いようだ。 料理も朝夕2食付きだし、風呂は当然源泉かけ流しの天然温泉で、露天風呂もあるようなので妥当な値段かと。 チェックインしてすぐ夕食を頼みます。 こちらの民宿は部屋まで食事を持ってきてくれるので、誰にも気兼ねなくゆっくり食べる事ができます。 (民宿名は失念…スイマセン) |
やはり値段の割には豪華 |
写真の腕がペケなのであまり綺麗に写りませんが、非常に美味しかったですよ。 無難な和風一式ですが、海が近いだけ会って刺身も新鮮でしたから。 出された物は全て食べる主義なのでおひつを空にしようと頑張りましたが、3合分くらい入っていたのでまるで敵わず。 いくらなんでも詰めすぎでっせ。 その後暗くなったのを見計らって、露天風呂へ。 あ、こちらの露天風呂も混浴なのですがツアラーはそんな事ぜんぜん気にしません。 純粋に入浴したかっただけです。 平日という事もあり宿泊客が少ないのか、ここの露天風呂も貸し切り状態。 残念…いや広々した露天風呂は快適で、しっかりと温まると疲れも取れた気がします。 風呂を上がってしばらくテレビのバラエティを眺めていると、知らないうちに眠り込んでしまっていました。 夜中にいったん目を覚まし、テレビと電気を消してから再び就寝。 散々の天気でしたので、最終日くらいは晴れて欲しいところです。 |
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本日の走行距離 175q |
6日目:阿蘇〜太宰府〜阿蘇 8日目:別府〜新門司 |
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